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勘違いな男<5> 

「早紀ちゃん、飲んでるかい?」
「あ、柿原さん。おかえりなさ~い」
「柿原、そろそろビール飽きただろ? 何頼む?」
「僕、スクリュードライバーにするよ」
真部がビール以外の注文を取り始める。大抵の連中はチューハイだが、わざと度数の高いカクテルを頼む。
「綺麗な色ですね~」
「少し、飲んでみる?」
僕がグラスをついと押しやると、早紀ちゃんはおずおずと口を付ける。やっぱり一回生はまだまだ可愛い。
「あまーい」
「飲みやすいだろ? オレンジジュースで割ってあるんだ」
「私もコレ欲しいです」
「OK。真部、こっちスクリュードライバーもう一杯ね」
「了解」
早紀ちゃんに酒を勧めながら、僕は反対側に座るヒロを見た。相変わらず、杵築さんはヒロの肩を抱いたまま、ビールを勧めている。
うちのような軽めのサークルで、嫌われることの多かった杵築さんは、素直な後輩がよほど嬉しいらしい。ご機嫌でヒロをかまい倒していたが、正直、面白くは無かった。
杵築さんがバイでは無いのは判っているし、別にヒロは僕と付き合っている訳では無いから、見当違いも甚だしいというものだが、それでもヒロに触られるのは我慢がならない。
『接触障害』『対人恐怖症』という、ヒロの病気の所為で、僕はヒロに触るのを、ずっと我慢してきた。なのに、せっかく触れることに慣れさせたら、僕では無い他人が触り放題という状態は、面白い筈が無いじゃないか!
「今日こそ」
「え?」
つい口に出してしまったらしい。早紀ちゃんが怪訝そうな顔で僕を見た。
「真部、次、ブラックルシアン」
「お前、高いものばっかり頼むなよ」
何事も無かったように、次のカクテルを注文する。ウォッカベースの強いものばかりを立て続けに頼んだ。横の早紀ちゃんにも飲ませる。
潰れるのは2人とも時間の問題だった。



「だ、大丈夫ですか? 柿原先輩。しっかりしてください」
「大丈夫、大丈夫~」
いい加減に酔っぱらった僕を、マンションまで送ってくれたのは、指定通りにヒロだ。
さすがに、身長百八十もある男を、女の子が運ぶのは不可能だ。杵築さんが2次会に連れて行きたいような素振りだったが、ヒロの『柿原先輩には世話になってますから』という一言で引き下がった。
「先輩、カギ何処ですか?」
「えへ、尻ポケットの中ぁ」
「尻ポケットですね? 腰浮かしてくださいよ。取れないっすよ」
ヒロの手がごそごそと尻を探る。
「エッチ、変なとこ触るなよ~」
「な、何がエッチなんすか! 変なこと云わないでください」
ヒロの顔が真っ赤になってるのが見える。まったく、純情だな。
「廊下の一番奥が寝室だから~」
3SLDKで、玄関脇が客間、その奥がサービスルーム。廊下を過ぎると、LDKがあって、その脇に寝室と和室という独り暮らしには、充分すぎるくらいの広い部屋だ。
ヒロは、寝室のベッドに僕を放り出す。さすがに重かったと見えて、息が上がっていた。
「ん~、水~」
「あ、はい!」
ヒロが慌ててキッチンへ走る。すぐにコップに水を入れて戻ってきた。
「柿原先輩、水です」
「ヒロぉ、飲ませて~」
本当は、夜気の寒い中を帰ってきたので、粗方酔いは醒めてはいたのだが、めったに無い機会だと甘えてみる。
信じきっているヒロが、僕の躯を起こし、口元へコップを持ってきてくれた。
「まだ、飲みますか? 先輩」
「もういいよ」
ヒロはほっと息を吐くと、僕をベッドに寝かしつける。
「じゃ、俺、帰ります」
「泊まっていってくれないのかい?」
キョトンとした顔で、ヒロが僕を見た。
「あの、先輩?」
「ヒロにいて欲しい」
ヒロは、困ったような顔で、視線を反らす。その頬を優しく、こちらに向かせた。
「ヒロ。キスしていい?」
尋ねると、途端に顔を赤くする。だが、しばらく待っても、その口から拒絶の言葉は無い。
「キスするよ」
囁いて、口付けた。
軽く触れ合うだけのキスはちょっとだけ、酒臭い。
「ヒロ、もっとしていい?」
「そんなの、聞かないでください……」
僕の腕の中で、ヒロが身じろぐ。でも、拒否は無かった。そのまま、口付けを深くした。
引き結ばれた唇を、舌先でノックすると、意外とすぐに唇が開かれる。だが、慣れないキスに、息が上がっているのが見て取れた。
「キスは、初めて?」
「いえ」
「他にもしていい?」
「他………?」
怪訝そうに聞く、ヒロの腕を取って、ベッドへ横たわる。僕の上にヒロが覆いかぶさる形になった。


*これより先15禁。ご承知の上、お進みください。

「もっと、いろんな処にキスしてもいいかって、聞いてるんだよ」
「いろんな……って…」
かあっとほほに血を上らせたのが判る。
「か、からかわないでください」
だが、次の瞬間、ヒロは辛そうな顔で視線をそらした。
僕はヒロの腰を引き寄せ、耳元で囁く。
「判る?」
男の躯は正直だ。好きな相手とベッドの上と云うシチュエーションで、すっかり興奮しきった僕自身をヒロに押し付けると、ヒロが泣き出しそうな顔をする。
僕自身に当たるヒロの男も、僕ほどではないが、形を変えていた。
「ヒロ。正直な躯だね」
耳朶を噛みながら囁くと、ヒロの腰がピクリと揺れる。
ヒロ自身に触れながら、舌と舌を絡ませた。
手の中で育てているヒロ自身が、彼が嫌がってはいないことを伝えてくれる。
「直に触れてもいい?」
唇を離して聞くと、ヒロはまた視線をそらした。抱き合った体勢のまま、僕はひたすら許可を待つ。強引に進んでも、ヒロが嫌がらないのは判っていたが、それは僕自身が納得出来なかった。
「ヒロ?」
「いい、です」
まさしく蚊の鳴くような声で、ヒロが言葉をつむぐ。いくら待っても、先に進まない僕に焦れたように。
「可愛いよ。ヒロ」
今まで、ベッドに引き込んだ相手に対する愛撫が、自分本位だったとは思わないが、それでも、今日はいつも以上に慎重だった。怯えさせないように、ゆっくりと確認しながら行為を進める。心に傷を負ったヒロ相手に、これが傷口を広げることの無いように。
躯中、何処にも隙間が無いようにキスして、思うままに触れた。
快感は分け合えなければ意味が無い。ヒロを感じさせたくて、本当のセックスを教えたくて、僕は一晩中、ヒロを離さなかった。


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