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勘違いな男<7>完 

「え?」
「柔道部、辞める気は無いかい?」
練習と、バイトで遅く帰ってきたヒロが目を丸くして、僕を見る。僕のマンションで半同棲の状態は半年になっていた。
「いきなり何だよ、祥。辞められるワケ無ぇじゃねぇか。夏の大会まであと二月も無いんだぜ?」
「もういいだろう? 君、試合で勝つのが目的の部活じゃなかっただろう? 接触障害を克服するんなら、目的は果たした筈だ」
長時間の寝技さえ掛けられなければ、ヒロはもう吐くことも、恐慌状態に陥ることも無くなっている。相変わらず満員電車は苦手なようだが、それだって、長時間でなければ普通に生活出来る程度だ。
就職先さえ考えれば、これからの人生に支障は無いはず。
「何で、イキナリそんなこと云い出すんだよ。俺、辞めないからな。絶対!」
僕は思わず、カッとなった。まだ、シャワーすら浴びていない躰を、その場に押し倒す。


*これより先、15禁。ご承知の上、お進みください。

「ちょ、ヤダって、祥!」
「駄目だ。今、欲しい―――」
抱きすくめて、手っ取り早くその気にさせる為に、ヒロ自身に手を伸ばした。
ジーンズの上から刺激を与えて、僕の手の内で育てていく。
「あ、ん、やだ、シャワー使わせて、くれよ」
「準備なら、僕がやってあげるよ。大人しくして、ヒロ」
「ソレが嫌だって、云って、祥、勘弁して……」
「可愛いよ、ヒロ」
うなじに唇を落とし、囁くと、ヒロの躰から力が抜けた。
「もう、祥。何、焦ってんだよ。お、俺は逃げ、ねぇよ」
荒い息の下から、切れ切れにヒロが許可をくれる。
僕は、それにすごく幸せな気分で、ヒロの服を取り去っていった。


「ヒロ、可愛いよ。すごく可愛い」
「云わないで、くれ」
ヒロは感じている顔を隠すように腕で覆う。恥ずかしいのか、口をふさいで声も抑えている。
そんなヒロを見てると、意地でも声を上げさせたくて、僕は思い切り奥まで腰を進めた。
「あ、くッ、ん」
噛み締めた唇から、押さえきれなかった声が漏れる。
「ヒロ、すごいよ、君の。僕を咥え込んで離さない」
僕が言葉で煽ると、ヒロは余計に声を殺そうと指を噛んだ。
「声、聞かせて。可愛いヒロの声。それだけでイっちゃいそうになるから」
ヒロがいやいやをするように首を振る。最近、特にヒロは強情だ。決して声を上げようとしない。
「僕しか聞いてないよ。聞かせて、感じてるヒロの声」
「嫌、ヤダっ、あ…んッ、はん…っ…、」
嫌だという口に指を入れると、僕の指を噛み締めまいとして、ヒロの喘ぎが漏れ出す。
「可愛い。もったいないから、もっと聞かせて」
「可愛く、なんか………ない…」
僕の囁きに、ヒロは本当に消え入りそうに、小さく反論した。




「久しぶり。祥」
掛けられた声に振り向くと、ダークスーツの似合うガタイのいい男が立っていた。
「ヒロ」
カクテルを頼んで、隣に座った童顔気味の横顔に、当時の面影が残る。
「いいガタイになったね」
「失望しただろう? 可愛くなくなって」
身長は当時よりまた少し伸びている。スーツの似合う大人の男だ。
「いや、きっと君は今でも可愛いと思うよ」
「お世辞はいいぜ。アノ頃もすでに可愛くなかったしな」
そういう意味で可愛いと云っていたのでは無かったのだが、彼は勘違いをしていたようだ。
「僕が可愛いと云ってたのは、君の性格とかベッドの中での仕草とかだったんだけど? 僕はそんな勘違いで捨てられたのかな?」
「よく云うぜ。俺を捨てて新しい男、引っ張り込んでたのはそっちじゃねぇか」
「あ?」
柔道部を辞めると云ったくせに、ヒロはずっと添田と会っていた。あてつけで、何人もの男女と浮気したことがあったが、もしかして見られていたのか?
「見てたのか。でも、君だって添田と浮気してただろう。お互い様だ」
「してねぇよ! なんで添田先輩と浮気しなきゃいけんねぇんだよ。大体、あの人、ストレートじゃねぇか」
ヒロと共に暮らしていたマンションのカギは、ある日突然、郵送で送り返されてきた。
驚いて、ヒロの部屋へ入ると、ガランとした空間が広がっているだけ。
数日前に、大学近くのホテル街で、添田とヒロを見たことを思い出し、僕はてっきり添田と付き合うことになって、僕を捨てたんだと思い込んでいた。
「でも、ヒロ。山王のホテル街で…、添田と…」
「あそこのホテル街の真ん中はJRの駅だろうがよ。先輩はずっと辞めるなってうるさかったから。第一、地元のホテルに男引っ張り込むワケないだろ?」
ちょっと待て。じゃ、全部、勘違い?
「添田と今も付き合ってるんじゃ……」
「添田先輩は、同じ会社に勤めてるだけ。それで、添田さんに伝言だったのか?」
ヒロの口調はあきれ果てたといわんばかりだ。
僕は自分の勘違いに呆然としていた。
だが、そんな僕に、ヒロは頭を下げる。
「悪ぃ。俺も勘違いしてた」
カクテルを飲み干して、ヒロはもう一杯同じものを頼んだ。
「けど、俺たち、多分、駄目だったと思うぜ。俺も外野がうるせぇのに、神経すり減らしてた」
「外野?」
「お前のファンのオンナや男。柔道部の連中。大学の噂話」
僕が堂々としすぎた所為で、ヒロは『オカマ』と侮蔑されていた。でも、ヒロがオカマなら僕もだと、すっかり開き直っていたのだ。
「俺は強くなりたかった。強くなったら開き直れると思っていた。でも、そしたら、お前の好きな可愛い俺は何処にもいなくなってて。焦ったけど――――」
「ごめん」
今度は僕が頭を下げる番だ。僕が子供だったために、いつの間にかヒロを傷つけていた。
「祥が謝ることじゃない。俺も弱かったんだ」
ヒロは2杯目のカクテルを飲み干すと、札を数枚そこに置く。
「明日、早いんだ。またゆっくり誘ってくれ」
「ベッド付でいいかい?」
僕のあからさまな誘いに、ヒロはクスリと笑った。余裕のある笑いに、ヒロも大人になったんだと感じる。
「こんな躯に勃つんなら、ね」
「今、僕、自分よりガタイの良いのが好みなんだ。ヒロなら好みぴったりさ」
去ったヒロの面影を追うように、そんな男たちばかりを抱いた。ヒロとやり直せるなら願っても無い。
「機会があったらな」
ヒロがひらひらと手を振って出て行く。
その後を、目で追いながら、僕は如何にヒロを攻略しようかと考えていた。


<おわり>

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