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優しすぎる男<1> 

別れた男との再会は嬉しいものではなくて。

<2> <3> <4> <5> <6> <7>完


「ヒロの悪いトコだと思うぜ。ソレ。そんなんだから、あいつが付け上がるんだ」
添田部長の言葉は結構辛辣だ。俺は、それが当たっている事を知りつつ、ため息をついた。
「まぁ、辞めると云うのを引き止めることは出来ないな。所詮は大学のクラブ活動だ。ヒロが入って活気づいたもんだから、つい欲が出た」
本当に惜しんでくれているのは解ったが、今現在の俺にとって、柔道はどうしても続けて行きたいものでもない。
「すみません。俺の都合で入ったり辞めたりしちまって」
「いや、こっちこそ引き止めて悪かった。まぁ落ち着いたら、いい道場は紹介するから、完全に辞めるなよ。もったいないからな」
さすがに臭い台詞だと思ったのか、大きなガタイに照れたような笑いを浮かべて、部長はJRの駅に消えていった。
その背中を見送って、俺は本日何度目かのため息をつく。
正直、俺が柔道部を辞めたところで、あいつとの関係が好転するとは思えなかった。今は、何かに執着するように、俺の躯に夢中だが、元々バイだった男だ。
オンナに不自由している訳でも無ければ、昔の恋人も結構な美形揃いだった。四回生ともなれば、就職活動だってある。
こっちは、浪人で大学に入っておいて、一年留年で、二度目の一年生という体たらく。かてて加えて、この筋肉のついた立派なガタイ。
「時間のモンダイだよな」
浮気で不誠実な恋人の、綺麗な顔を思い浮かべて、俺はまた盛大なため息をひとつ、ついた。


そして、そんなことを考えながらも、律儀にアイツと同棲中のマンションへ帰ってきてしまうのは、身に染み付いた習い性だ。
そう云えば、高校の頃から独り暮らしをしているボロ家には、ここ数ヶ月帰っていない。
俺は、与えられた自分の部屋の布団へと身を投げた。


物音で目が覚めた。いつの間にか眠っていたらしい。
「こっちなの?」
「ああ」
話し声がする。帰ってきたのは、アイツだけじゃ無いらしい。
どうせ、またぞろ浮気の相手だろう。
付き合って一年以上が経つ。最初は遠慮がちに外で浮気してきたものだったが、最近じゃ、俺がいたってお構いナシに連れ込んでくる。少しは毅然と断って欲しいとは思うが、俺がそんなこと言える筋合いでも無い。


「ねぇ」
甘えるような声は、少し高めだが、明らかに男の声だ。今日はどうやら男が相手らしい。
俺はそれ以上聞いていたくなくて、掛布団を頭から被ると、目を閉じた。眠っている間は何も聞かずに済む。
だが、無理やり眠ろうとしても、一向に眠くなんかならない。

喉が渇く。そっと起きだして、ドアに手を掛けた。

「あ、んっ、そこっ、すごい、イイっ……!」

すぐそばでした声に、ぎくりとなって動きが止まってしまった。
声の方向は、明らかに、キッチンを挟んだ向かいにあるアイツの寝室だ。今までアイツは、どんな男女を連れ込んでも、キッチンを出た所にある客間しか使わなかった。
それは、俺たちの間では、無言の鉄則だと思っていた。寝室で抱かれるのは、恋人の俺だけだと――――。
だが、今、明らかにあえぎ声は寝室から聞こえる。
「意外と早かったな」
俺は諦め半分で呟いた。考えてみると、柔道部を辞める辞めないで揉め始めた頃から、すれ違いが多くなった。
俺に飽きたのか、それとも、端っから大勢の内の一人だったのか。
どちらにしろ、潮時と云う奴だろう。
俺は陰鬱な気分で部屋に戻ると、手荷物をまとめ、そっとマンションを出て行った。
翌日、マンションの鍵をアイツに送り返して、それきり。
俺たちは会うことも無く、アイツがアメリカへ渡ったと噂で知った。






「え? 祥先輩が?」
添田さんに聞かされた言葉に、俺は首を捻った。
「ああ。会いたいってよ。ナニ考えてるかわからんが、取り合えず伝えたぞ」
「今更、ナニ?ってーのは俺もですけどね。一番疑問なのは、何で、功治先輩になのか?って辺りです。連絡とってたんですか?」
「まさか。アイツがアメリカ行ってからとんとご無沙汰だったぜ」
昼休みの喫煙室。販売支店から、本社へやってきた会社の先輩社員である、柔道部の元部長に呼び出されて、聞かされた伝言は、意外なことこの上無かった。

「会いたい。そう伝えてくれ。場所は――――」


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