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BARエルミタージュ<3> 

「それじゃ、腰を据えて呑むってことで」
改めて新しいカクテルを頼む真幸さんを慌ててヒロさんが止めている。俺はヒロさんに目配せされるまま、似たようなカクテルでアルコールの度数の低いものに変えた。
「あはは、あの顔だけオトコ来るんだ~~」
真幸さんは酔っ払っている所為なのか、それとも人の不幸は蜜の味と云うことなのか、ひどく楽しそうだ。
「まったく、キミはホントに祥くん嫌いだねぇ」
マスターが呆れたように頭を振る。
「ア・タ・リ・マ・エ! 大体ヒロはオトコの趣味最悪なんだから、こっちで選んであげてるの!」
「趣味が悪いのは解ってるよ。でも、仕方無いだろ? 惚れちまうものは、さ」
「解ってるんだったら、どうにかしなよ。そこのオトコと別れるとかさ」
ヒロさんは絡んでくる真幸さんを、笑っていなした。
「残念だけど、ね」
「解ってるよ、やな感じだな」
あっさりかわされて、真幸さんがむくれた時、マスターが顔を上げる。
「いらっしゃい、祥くん」
あらら、ご登場だよ。ヒロさんの眉がピクリと動いた。
「やぁ、久しぶり、ヒロ」
祥さんはいつも通りの甘いマスクでにっこりと微笑む。このどちらかというと若い女の子に受けそうな容姿の祥さんが、本当にヒロさんみたいな男らしい人と付き合ってたらしいっていうのが信じられない。
「ああ、祥。久しぶり」
「添田、知らないか? 待ち合わせしてたんだけど?」
「先輩なら帰ったよ。聞きたいことがあったら俺に聞けよ。いつも先輩に電話すんの止めろよな」
ヒロさんは、祥さんを睨むように言い放った。
「君が素直に僕と会ってくれるなら、そんなことしないよ。でも、君付き合ってる相手がいるってホントなのかい? そうなったら、僕とは寝ないって君が言ったんだよ?」
祥さんが哀れっぽくヒロさんの腰にしがみ付く。やれやれ、芝居がかった人だ。
横に座っていた佐伯さんが、ぐいっとその腰を抱いた。
顔を上げた祥さんと佐伯さんの目が合った。火花が散ってるように見えるのは、俺の気の所為じゃないと思う。
「ヒロ、君が付き合ってる相手って、こいつかい?」
「久世。こいつ、誰だ?」
二人が同時に声を掛ける。さすがのヒロさんも腰が引けてた。でも、そこはヒロさんだ。
悠然と膝に掛けられた祥さんの手を外して、憮然と言い放つ。
「コイツで悪かったな。俺のパートナーだよ。佐伯ってーの。佐伯、挨拶しろよ。俺が大学時代、いろいろと世話になった先輩・祥」
「ふ~ん、何の世話だかね」
横で立派な酔っ払いと化した真幸さんが、絶妙な突込みを入れた。
俺は思わず吹き出しそうになるのを、必死で堪える。いくら常連でも、そりゃやばいだろ。
「可愛かったから、何から何まで世話焼いたよ。ああ、うちから半年以上、大学通ってたよね」
「へぇ、同棲してたって訳ですか。こいつ、偏食だから大変だったでしょ?」
タイプの違ういい男二人が、ヒロさんを挟んで火花が散っている。俺的には、間に入るのは真幸さんみたいな綺麗なタイプの方が絵になるとは思うが、好みだと云うなら仕方が無い。
「ああ。そうだね。何処に連れて行ってもあんまり喜ばないしね。君も苦労してるんだろ?」
「苦労するだけの価値ありますから」
ニヤリと佐伯さんが笑う。うわ、一歩も引かない構えっての? すんげぇ。
「祥くん。ご注文は?」
マスターが助け舟を出す。さすがだ。
「ロック」
おしぼりを祥さんに手渡すと、すばやくボトルからロックを注いで差し出した。
「ヒロ。個室、使うかい?」
マスターは、佐伯さんと祥さんに視線を走らせながら、ヒロさんに囁くが、ヒロさんは首を横に振った。
「佐伯、付き合え」
ヒロさんが顎をしゃくるのに、佐伯さんがすっと立ち上がる。
「逃げるのかい?」
「別に。小便だ」
絡んできそうな祥さんを振りほどいて、トイレへと向かう。
まさかとは思うが……?
俺はカウンターをさりげなく抜け出した。
「いつまでも、すねてんじゃ無ぇよ」
そっとドアを開けると、ぼそぼそと個室から話し声が漏れてくる。
「仕方ないだろ。アイツは俺が一番キツかった頃に助けてくれたんだ。恋人がいない間なら寝るくらいするさ」
「じゃあ、もう止めろ。俺がいるんだから」
カチャカチャと明らかにベルトを外す音がする。
やっぱり、という感じだ。ヒロさんはそういうコトしない人だと思ったんだけど、佐伯さんは強引そうだしな。
うちの店ではトイレでのプレイはお断りだ。そういう目的なら、そういう店でやって欲しい。
個室のドアを叩くべきかと、逡巡した俺が一歩踏み出した瞬間、鈍い音が個室から響く。
「ここはそういう店じゃ無ぇ! トイレでのプレイは禁止だ」
ヒロさんはやはり常識派だったみたいだ。殴られた後も、佐伯さんがプレイを続けるとは考えられない。
俺は安堵して、そっと扉を閉めると店に戻った。


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