スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
*Edit TB(-) | CO(-) 


BARエルミタージュ<12>完 

「圭」
低い声でマスターが俺を呼ぶ。
そのまま、抱きしめられてキスされた。
タバコとコーヒーの味がする、苦いキス。
吐息を絡めとられて、必死でそれについて行った。
無骨な見掛け通りのキスは、決して巧みでは無かったけど、マスターとキスをしていると云う事実だけで、俺はどうしようも無く熱くなる。
相手が好きな男だと云うだけで、それはひどく心地いいものだ。
あれから何人かの男と寝たけど、単なる代償行為だったし、何よりヒロさんみたいに甘えさせてくれる人は、他にいなかった。
何よりも、マスターが誰かと出て行くヒロさんを見る目を見てしまった俺に、ヒロさんとどうにかなるなんて選択肢はありえない。マスターを悲しませる当の相手に、俺がなるのは、絶対に嫌だった。


*これより先15禁。ご承知の上、お読みください。

「マスター」
俺を抱きしめたまま、動かないマスターに、俺は続きを促す。
今だけでもいいから、俺に応えて。
「愁輔だ」
ぼそりとマスターがつぶやく。
「そう呼んでくれないか?」
覗き込むようにそう告げられて、俺は思わず固まってしまった。
だって、恋人同士みたいだ。
ああ。今夜だけ、恋人同士なのか。
「俺も、圭吾って呼んでください」
そのぐらいは許されるだろう。俺は自分からマスターの太い首にしがみついた。
「圭吾。いいんだな?」
「ええ。愁輔さん」
俺の上に覆い被さってくる逞しい身体はマスターのもの。そう考えるだけで、俺の心も身体も全てがマスターに反応する。
俺の身体をたどる指のわずかな動きさえ、快感のボタンを押しているかのように顕著な反応を示してしまう。
自分の身体に、自分で付いていけない。
「あ、んッ、愁輔さん、もっと、ゆっくり……」
「構わない。思い切り感じていいよ。圭吾が俺の手で乱れてると思うと、俺も感じる」
マスターは俺の反応に気を良くしたようで、面白がるように俺の身体に触れてきた。指も唇も、俺に触れていないところは無い。
必死に指を噛んで快感に耐えるが、それが突き崩されるのは、そう先のことでは無いと云うことを俺自身判りきっていた。


目を覚ましたとき、見覚えの無い部屋のインテリアに思わず飛び起きてしまう。
が、覚えのある疼痛にそのままうずくまった。
ホテルの部屋ではなさそうだ。何処かでワンナイトの相手を見繕ったにしても、そのまま見ず知らずの男の部屋へ行くほど、俺は無謀でも無い。
誰の部屋だろうと周囲を見回して、隣に眠る逞しい背中に、今朝の記憶が蘇ってきて、俺は真っ赤になってしまった。
マスターの部屋の窓からは、もう西の強い日差しが差し込んできていて、既に時刻が夕暮れであることを示していた。
「起きたのか?」
眠っているはずのマスターは、しっかりと目を開けて、俺を見あげていた。
マスターの腕がゆっくりと俺に伸びてくる。
「大丈夫か? 久しぶりだったんで加減が判らなくて。無理をさせたんじゃないか?」
「いえ」
確かに、俺も久しぶりだったし、痛みは残ってはいるが、好きな相手とのひと時を満喫した幸せが勝っていた。
「圭吾。俺とこれからもあの店をやっていってくれるか?」
「もちろんです。マスター」
心からそう思う。
「一晩明けたら、またマスターかい?」
からかうようなマスターの口調に、俺は首を捻った。あれは一夜限りのことじゃなかったのか?
「やれやれ、これはきちんと云わないと駄目みたいだな」
きちんと?って何を???
「圭吾をうちの店で終身雇用するにはどうしたらいい? もちろん、店には俺がもれなくセットで付いてくるという条件で良ければ。だけど」
マスターの言葉に、俺は目を見開いた。
信じられない。
「マスターがついて来るんですか?」
「嫌かい?」
俺は首をぶんぶんと勢い良く振った。嫌な筈が無い。
「俺で良ければ、一生、雇ってください! 解雇は受け付けません!」
叫ぶように、俺はマスターの腕に飛び込んだ。
逞しい腕が俺を受け止めてくれる。
それは、ずっと待ち望んでいた男のものだった。


<おわり>


面白かったと思ったら、クリックしてくださると励みになります。

BL小説ランキング
FC2 Blog Ranking

「身勝手な男」とのコラボです。「特別な男」
ある日、マスターの元恋人が訊ねてきて「昔の男と俺の自信」

完結小説一覧

スポンサーサイト
*Edit TB(-) | CO(1)


~ Comment ~

拍手内緒コメHさま>
一応、二人のその後の話は、身勝手な男シリーズの「特別な男」と「昔の男・俺の自信」という話にあります。そちらもどうぞ。
[2009/03/15 09:12] 真名あきら [ 編集 ]















管理者にだけ表示を許可する


Back      Next

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。