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初恋の男<3> 

「いいのか? 追い返しちまって……」
余計なことをしたと思っているらしい佐伯の口調は、妙に口ごもっている。俺を気遣う様子に、俺はほっとした。
「別にいい。本気で困ってたんだ。感謝してるくらいだぜ。正直、俺だけじゃヒス起こしてた」
アイツは昔から、自分の尺度でしかものを考えられない奴だった。その単純さがうらやましく、憧れだった時期もあったが、今ではわずらわしい。
「良かった! 余計な真似したんじゃないかと思ってたんだ!」
ぱあっと佐伯が明るい顔になった。本当にこいつは綺麗な顔に似合わない真っ直ぐなところが気持ちいい。
「そんなこと無いさ」
俺が笑いかけると、佐伯は改めて俺の躯を抱き込んできた。
「御褒美、くれるだろ?」
「俺のカラダかよ? そんなんでいいのか? お手軽だな」
まったく、物好きな奴だ。こんな奴ならいいかもしれない。
その為には……。
「ちょっと、待て!」
「え~、またお預けかよ?」
圧し掛かる奴のソレは、既に臨戦態勢で、男としての生理がツライのは良く判る。だが、ここは聞き分けてもらわないと。
「見てもらいたい物があるんだ」
佐伯を押しのけて、押入れの奥を探り出した俺の尻のあたりを、視線が追っているのが解かる。その欲望丸出しなソレに、俺は少しだけ恐怖を覚えた。
警察から渡されたソレを、何で態々この家に持ってきたのか、今となっては謎だ。引越し以来、おそらく十数年はしまい込まれた箱は、俺にとってはパンドラの箱か玉手箱に等しい。開けてはならない箱だ。埃にまみれたソレを取り出し、埃を払うと、震える手でその箱を開いた。中に入っているのは、数枚の写真と――――
「誰にも見せたこと無いんだぜ」
俺はもったいぶった台詞で、佐伯の目の前に差し出したのは一本のビデオテープ。
「何のビデオだ?」
「とにかく、見ろよ。コレ見て、まだ俺に勃つようなら、今日何度でもいいぜ」
「ホントかよ? 一体なんで?」
「ホントに勃つかどうかは疑問だが、な」
俺は軽くウィンクしたつもりだったが、うまく笑えていたかどうかは怪しい。何故なら、ビデオを受け取った佐伯の視線は、俺の顔色をうかがうようなものになっていた。
「これ、見ればいいんだな。裏か?」
さすがに佐伯も解かったらしい。パッケージなしで煽り文句だけの書かれたシールの貼られたビデオとくれば、まぁ、押して知るべしだ。
「あんまり、好きじゃないんだよな。セックスは見るもんじゃなくて、ヤルもんだろ」
気乗りしなさそうなのは、ホントに好きじゃないからなのか。それとも、中身の想像が付くからなのか。
佐伯は渋々とうちの旧式のビデオにテープを差し込んだ。


*これより先15禁。ご承知の上、お読みください。

前置きなしでいきなり、画面はベッドの上を映し出す。
ビジネスホテルの一室で、数人の男たちがベッドの周囲を取り囲んでいた。
抵抗している男を数人掛かりで押さえ込んでいるらしいのが見て取れる。
「輪姦ものかよ。えげつねぇ……」
面白く無さそうに佐伯が呟いた。
男の一人が注射器を構えたのが、ピンボケ気味の画面でもしっかりと映っている。
針が腕に刺さると、さすがに男の抵抗が止んだ。
「そら、にいちゃん、気持ちよくなるクスリだぜ」
せせら笑う男たちの声が、かすれるようにだが、入っている。
薬が効いてきたらしい。組み敷かれている男の声の調子が変わった。
「ん、…ッ、ぁ…」
快感を耐える声。ソレに煽られたのか、男たちの愛撫が熱心さを増す。
数人掛かりの力と、与えられる快感に耐えきれずに開かれていく躯。
カメラのアングルが変わる。上から、一人の男に貫かれている相手は、切れる程に唇を噛み締めている。
その顔が、はっきりと映った。
まだ、少年の面差しを残してはいるが、その顔は。
「久世――――」
いつの間にか、食い入るように画面を見つめていた佐伯が、ため息とともに俺の名を呼んだ。
「これは、何だ、と聞いてもいいか?」
「そのつもりで見せた。俺が主演の裏ビデオ。本番輪姦ものだな」
吐き捨てるように云う俺の声は、少し震えていたと思う。佐伯の喉がごくりと鳴った。
「もう、止めていいか……」
「少し待て。俺をやってる奴の顔は映ってないが、横で押さえ込んでるチンピラの顔は判るだろ?」
さすがにプロの仕事と云うべきか。俺の顔はしっかりと映っているが、俺を犯している奴の顔はまったく映っていない。
「短髪の二人か? 茶髪と金髪の。これが?」
「茶髪の方は、林のダチだった奴だ。学生の頃のな」
俺はビデオを止め、さっさと巻き戻して取り出した。それを、佐伯が横あいから取り上げ、テープ部分を引き出して、本体部をばきりと二つに折る。
「こいつらと、あの野郎はグルだったのか?」
「まさか。この頃には林はもう転校してたし、チンピラも学校は辞めてたな」
信吾のことと、こいつらのことはまったくの別物だ。
オトナになった今では、あの頃の追い詰められた信吾の気持ちは解かっている。
だが、理性で解かることと、感情は別だ。学生時代に二度もレイプされた経験は、俺に一時期、ひどいトラウマを引き起こしていた。
「やっぱり、萎えたか?」
「冗談。若い頃のあんなの見せられて、このまま帰れるワケ無いっしょ? 今の久世もそそるけど、躯が発達しきってないのも色っぽいもんだな。俺、子供には興味ないつもりだったんだけど、さ」
冗談めかして佐伯が笑うが、その実、ひどく怒っているのは明らかだ。ビデオテープは、佐伯の手の中でぐちゃぐちゃになっている。
「まったく、お前は……。ホンキで俺がいいんだな」
「だから、云ったろ? 俺の好みはゲイとしてはスタンダードだと思うって」
佐伯はぐちゃぐちゃのビデオテープを、腹立たしげにゴミ箱に放り込むと、俺の腰を抱きこんできた。
「で? これ見せたってことは、俺は恋人として合格ってこと?」
「まぁな」
そっちも重要事項かよ。
「もしかして、俺が呆れて去ってくの、期待してたか? 残念ながら、俺はしつこいぜ?」
「まったくだ」
笑った俺に、佐伯が遠慮なしに覆いかぶさってくる。そのまま、呼吸が奪われた。
激しいが、優しいキス。
「全部、話してくれるだろ?」
「ああ」


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