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嫉妬深い男<4>完 

「あれ?」
歩き出した道は、駅に行く方向とはまったく逆だ。地下鉄の駅にしても、わざわざ遠い駅に向かう意図が判らん。
「どのあたりだ?」
久世が振り向いた。
「何が?」
「真幸が云ってただろ。お前が悪名馳せてた店だよ」
目の前が暗くなるとはこのことだ。
「連れて行けとか云うんじゃ無ぇんだろうな? 勘弁しろよ」
俺は、本気で止めて欲しかったが、こうなった久世が引かないのも承知している。
案の定、久世は無言で俺の顔をじっと見つめていた。連れて行くというまで、絶対に引きそうに無い。
俺はため息と共に、歩き出した。


この道を歩くのも、久しぶりだ。
久世とやるようになってから、別段来る必要も無くなっていたから、足はとんと遠のいていた。
馴染みのバーは半地下の狭い店だ。さすがに入り口で戸惑った。
「ホントに入るのか?」
「ここまで来て、入らずに帰れって?」
「お前の行きつけみたいな上品な店じゃ無ぇぞ」
「ハッテン場くらい行ったことあるって。まぁ、その場でっつーのは好みじゃ無ぇから、精々、引っ掛けてホテル連れ込む程度だけど」
云われて、嫌なことを思い出した。そうか、コイツは抱くことも出来るんだ。綺麗な子を引っ掛けて遊んでいたこともあるって訳か。
「個室、取ってもいいなら入る」
見せびらかすなら、派手にやりたい。こいつが俺のものだって。
「そっか、さっき途中だったもんな。いいぜ、まさか覗けるワケじゃ無ぇだろ?」
「いくらなんでも、ソレは無い。ただ、ホントに仕切ってあるだけだから、丸聞こえだぞ」
「趣味悪いな。ホントにお前らしいぜ」
その趣味の悪い男が好きなんだろう? いつもならそう意地悪く云ってやるところだが、いつも通りに『セックスだけな』とか返されたら、さすがに今日は凹みそうなんで止めておく。
店に入ってロッカーに荷物を預ける。
薄暗い店は明るいのはカウンターの辺りだけだ。テーブル席ではさすがに本番には及ばないものの、そこそこいちゃついている連中はいた。まだ宵の口とあって少ない方だ。


カウンターへ向かう俺たちを、ねっとりとした視線がいくつも這い回る。品定めされていることは明白だった。
俺は、久世の腰に手を廻したまま、カウンターへ腰を下ろす。
今日の相手はこいつと云う意思表示だ。
「英。久々じゃん」
バーテンが酒を出すよりも早く俺たちに声を掛けてきた奴を見て、俺はしまったと臍を噛んだ。
「今日はハズレかなぁと思ってたんだ。英が来てくれてラッキー」
返事をしない俺に、ユウは滔々としゃべり続ける。
「あ、今日、相手いるんだ? 俺、3Pでもいいよ」
俺の隣に座った久世を認めて、諦めるかと思えば、そんなことを云ってくる。いつもならかっきり無視して終わるのだが、久世のこめかみがヒク付いているのは見逃さなかった。
やばい、俺の前に久世が切れる。
「悪いが、俺はコイツ以外、相手にするつもりが無いんだ」
「ああ。今日はじっくり楽しむつもりなのか。確かに、好みのタイプだモンな」
あくまで、ユウは久世を今夜の俺の相手と理解しているらしい。
「アイツには振られたのか? 声掛けてくれりゃ良かったのに」
「振られて無ぇよ。お前、良く見ろよ」
ユウは一度相手を見せろと行って来たことがある。そのときに久世の顔は見ている筈だ。
「ケッ、なーんだ。相手がいるならこんなとこ来んなよ。見せびらかしたいのかよ」
むっとした口調とは裏腹な、傷ついたような表情をされて、俺は焦った。
俺に腰を抱かれたままの久世が、深くため息を付く。
「もう、来んな」
言い捨てて、ユウは他の男に声を掛け始めた。
「まったく、お前も祥と同じでロクデナシ野郎だ」
怒った顔を寄せてきた久世が、俺に囁く。
「自分が遊びだからって、相手が遊びとは限らないんだぜ。いくら、割り切ってるようでも人の気持ちはそうはいかないんだからな」
『祥』と同じと云われて、俺は落ち込んだ。多分、別れた原因はソレだろうと検討が付くからなおさらだ。


色っぽい気分は、すっかり削げていた。
ユウは俺にしては珍しく、何度も関係した相手だ。俺の好みからはちょっと外れた細身の躯だが、背中のラインが久世の小型版という感じで、お気に入りだった。ユウは久世の身代わりに使われたことに気付いた筈だ。だからこそ、あんな表情をしたのだろう。
これ以上ここにいる気にはなれなかった。


「帰ろうぜ。俺たちの家に」

ぽんと俺の肩を叩いたのは、当然、久世だった。


妙に落ち込んだ気分で、久世のベッドの隣に敷かれた万年床に潜り込む。
最近、月の三分の二以上、久世の家に泊まりこんでいるから、客用の布団は片付けられることは無い。
シャワーを浴びた久世は、ベッドには入らず、俺の布団に潜り込んできた。
背中に、濡れた髪の感触がある。
「久世?」
「しようぜ」
 久世が後ろから抱きついてきた。


*これより先、15禁。ご承知の上お進みください。

気分的に落ち込んでいるのには間違いが無いが、そんな風に慰めてもらえるとは思っていなかった。
抱きついている久世の腕を外して、自分の腕の中に抱き込んだ。
体格がそんなに変わらない相手を、自分の腕の中で乱れさせるのはひどく興奮する。
組み敷いた久世の躯に、唇を落とした。
ゆっくりとまぶたの上に口付ける。
それから、鼻の頭。軽く唇。
顎から首筋。耳の付け根を強く吸った。
「馬鹿、や、ろッ、痕つけんなッ」
そんなことを云っても、引き剥がそうとはしない。
胸を愛撫しながら、指先を舐めた。
太もものあたりに念入りに舌を這わせていると、もぞもぞと久世の腰が揺れた。
「大人しくしろよ」
「お前ッ、わざ…と、やって…」
躯全体で抑え付けるようにして、抱きしめたまま、俺は久世と自分のそれを擦り合わせた。
「あ、んッ…は…」
久世の口から、殺しきれない声が漏れる。俺は嬉しくなって、深く口付けた。
歯茎の裏を舐める。
俺の下の久世が、びくりと震えた。
「もう? 早いぜ」
「判って、やってんだろ! このッ」
達した後の潤んだ瞳で、久世は俺を睨みつける。はっきり云って、そんな目で見られても、俺の欲を煽るのがせいぜいだ。
「当たり前だろ。ほら、腰浮かせ」
睨み付けた後だと云うのに、久世は俺の手が後腔に伸びるのを止めようとはしていない。
俺の云った通りに腰を浮かせて、俺の手が自由に自分の中を探り出すのを許していた。
抱きしめたままの行為は、結構体位的にツライものがあるが、コイツが安心することを知っているから、いくらツラくても止めようとは思わなかった。
「来いよ」
俺に背を向けた久世が、顔をこちらに向けてにやりと笑う。
「サービス満点だな」
どういう訳だと云いたいところではあるが、そんなことを云って、わざわざご機嫌を損ねることでも無い。
俺は遠慮なく、久世を貫いた。
「あッ…く、ん…」
久世の声が俺をそそる。
俺は背後から抱きしめたまま、幸せな気分で久世の中に欲を放っていた。



「どうしたんだ? 一体」
「お前、落ち込んでただろう」
「慰めHかよ。俺はそんなにどスケベか?」
否定はしないが、ソレって………。
「『祥』と同じだって云われて、すんげぇ顔してただろうが」
「別れた男と同じだって云われりゃ、落ち込むだろう」
「デリカシーが無ぇんだよ。俺はお前に惚れてるんだからな。解ってんのかよ」
久世は真っ赤になって、俺を見ている。
不思議な感情に支配されて、俺は少し泣きそうになるのを堪えて、久世の背中を抱きしめた。


<おわり>

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Re: 読み返すと

エルミは、基準になる作品なので。うちのキャラが集まるバーです。
[2010/03/08 06:22] 真名あきら [ 編集 ]

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[2010/03/07 21:47] - [ 編集 ]















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