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俺の主治医<6> 

本間亮は、最近使い慣れたキッチンで、深いため息を吐いた。
今現在の兄貴分・草野克利は、亮が一応席を置いている、カンダコーポレートという会社の業務医で、今日もとっくに出社していった。
それも道理だ。既に太陽はとうに頭の上にある。
カンダコーポレートは、一応会社の体裁を取ってはいるが、実態はヤクザの事務所である。
表向きは、不動産と引越し業を営んでいるが、扱うテナントは水商売が主で、要するに家賃には上前がプラスされているという訳だ。
数ヶ月前まで、亮の仕事は滞った家賃の取立てだった。ところが、相手に警察に駆け込まれると云うヘマをやらかした亮は、見事にやっと抜け出した下っ端に逆戻りをする破目になってしまった。
現在の亮の仕事は、新しく専属医となった克利の身の周りの世話と、何か事が起こった時に、克利の楯になることだ。
だが、克利は亮の本来の仕事である筈の「身の周りの世話」をほとんど必要としなかった。
食事は自分で作るし、ひとり暮らしが長かったらしく、掃除や洗濯も亮がやるよりはずっと手馴れている。
それに、世話をしたくても、こんなようやく昼に起きだすような生活ではそれもままならない。
だるい躯をなだめつつ起きだした時には、もう克利は自分で自分の身の周りを整えて出勤した後と云う有様だ。どころか、亮の朝食さえ用意されていることだってあるのだ。
これではどちらが世話係か判らない。


それもこれも、しつこい克利の所為だ。と恨みがましく亮は考える。

こんなに躯がだるいのも、あらぬところが痛むのも、男として耐え難い屈辱に耐えなければならないのも、全てはあの極道な医者が自分のことを気に入った為だ。

昨日どころか夜が明けるまで苛まれた躯は、キッチンで片づけをするのさえ、一苦労だ。
だが、せめて夕飯くらいは準備をしておかないと、これでは丸っきり「草野先生のオンナ」と云われても、仕方が無い。
いや、本来の「部屋住み」の意味を考えれば、充分にオンナだ。
何処の世界に、兄貴分より遅く起きる舎弟がいるというのだ。兄貴分が起きだした時には朝食の用意くらいは終えて、兄貴分が出掛けるときには付き従うのが当たり前なのだ。こんな風に部屋の中でひたすら帰りを待って、世話をするのは「オンナ」の役割じゃないかと、亮は沈んだ思考の中で考えた。
だが、未だに本来の兄貴分である久川さえ、それを咎めだてする様子が無いというのは、すでに組内での亮の立場は、そう認定されているのかもしれない。

そうして、亮のため息はますます深くなっていくのだった。


家出をしたのは中学生の時だ。それから十年以上家には帰っていない。まぁ、あの育児放棄していた酔っ払いの母親が探している筈も無いので、帰る必要も感じなかった。
幼い頃の記憶で覚えているのは、母親がいつもイラついていたことと、母親や母親が連れ込む男に殴られていたこと。
その度に、かくまってくれた隣のお兄ちゃんのこと。
ただ、もうすでに顔はおぼろげな記憶の彼方だ。大事な思い出だった筈のおだやかな記憶は、家を出てからの亮には無用なもので、極力思い出さないようにしているうちに薄れていった。
気付いてみれば、立派なチンピラヤクザの出来上がりという訳だ。

ただ、最近はそれも危ういものとなっている。このままでは………。


*これより先は15禁ページとなっております。それでもよろしければ、先へどうぞ。

「…んっ、あぅ、…ッ、は…」
亮の口からは、意味不明な喘ぎのかけらが漏れる。必死に声を殺そうと試みるが、それは無駄な抵抗だ。
人の肉体は精神的なそれとは違い、繰り返される行為には慣れるように出来ているからだ。
痛みにも、快楽にも。
特に、克利の動きはひたすら優しい。組長との取引で得られたおもちゃだというのに、絶対に亮を傷つけるような真似はしない。
指はたくみに亮の快楽を探り当てる為だけに動いていた。
「亮、俺が欲しいか?」
「ンッ、あぁ…ッ、ほ、しい…克利せん、せ…っ」
ギリギリまで追い詰め、嬲り、墜とす。それから、ようやく終わらせる為に克利はその身を亮の中へ沈める。
最初はぎりぎりまで拒んでいた亮も、そうすることで、より一層克利の執着をあおることに気付いてからは、無駄な抵抗は止めた。
当初は当たり前のように使われたドラッグも玩具も、最近ではすっかり形を潜めている。
「いい子だ。亮」
まるで、愛を囁くように、克利は亮の耳元に囁く。
克利に押し広げられて、亮がうめいた。この瞬間だけはいくら繰り返しても慣れなかった。
それはオンナのように男を受け入れさせられているという亮の精神の抵抗かもしれない。
亮はすっかり慣らされた自分のそこが、克利と自分自身に快楽を与える為にうごめいていることを感じて、飲み込まれそうな意識の一部が妙に覚めていくのを抑えられない。
このまま飲み込まれてしまった方が楽だというのに、それは余分な羞恥とプライドを亮に思い起こさせ、躯が無意識の抵抗を試みる。
「…ッ!」
亮の耳元で克利の舌打ちが響いた。躯が硬くなったのは肌で伝わる。
「往生際が悪いぞ。何も考えるな、その方がいいことは解ってるだろう?」
云われるまでも無い。だが、意識的に快楽に身を任せることは、まだ亮には出来なかった。
ますます硬くなる躯に、克利の動きが乱暴になる。
押さえつけられ、無理やりに貫かれた。
「うっ、ぐッ、」
上げそうになる苦鳴を飲み込む。それさえ許せないとばかりに克利の舌が亮の唇をこじ開け、舌を絡め取った。
いかにもヤクザという風体ではないにしろ、所詮チンピラの亮によってくる女など、その辺にたむろしている頭と尻の軽いプータローか、せいぜいプチ家出の女子高生くらいだ。シマ内の風俗勤めのお姉ちゃんたちの狙いは、いかにもと言った感じの潰しの利きそうな男か、兄貴分たちで、美味しい思いをしたことなど皆無だ。
そんな亮にとって、息ごと持っていかれそうなキスの経験等、克利が最初だった。
まぁ、受身でのセックスなど、女相手に経験することは皆無と云うわけでは無いが、普通はありえないシチュエーションだろうから、それも当然かもしれないが。

深くキスを交わしたまま、克利が動く。微妙に苦しい角度の行為に根を上げたいが、それさえ克利の怒りをあおる結果になるだろう。
「あ、ッ、克利、先生っ」
亮は、この苦痛を早く終わらせることを選んだ。もつれる舌を動かして相手の名を呼ぶ。
それに、満足げに克利が微笑んだ。
望んでいた終わりはすぐに与えられた。激しい律動が開始され、克利も自分を解放するために終わりを目指す。
熱い躯を持て余す亮を、一層熱い躯の克利が抱き込んだ。

「可愛いぜ、亮」

馬鹿云ってんじゃねーよ。耳元で囁かれた睦言に、反射的に頭に浮かんだ反論は、意識の狭間で闇に融けて消えた。


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