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憧憬の王城<16> 

圧し掛かる気配と、柔らかな毛の感触に、誠吾の意識が浮上する。
誠吾は自ら、その気配の主の首に腕を巻きつけた。
だが、感触の違いに、はっとして飛び起きる。
「だ、誰だ?」
闇を透かし見ると、大きさはアデイールと変わらないが、シルエットがまったくと云っても良いほどに違った。
細身のシルエットは大型の犬に見える。銀色の大きな犬。冴えた青い瞳が誠吾をじっと見下ろしていた。
「狼? サディなのか?」
現実を認識した誠吾の動きは早かった。振り落とす気で、毛布ごと銀の狼を蹴り上げる。
枕元に置いた弓に伸ばそうとした手は、だが、サディに押さえつけられた。
圧し掛かる獣の息遣いは荒く、誠吾はぞっとする。
銀狼は、誠吾を押さえつけたまま、首筋に長い舌を這わせてきた。
必死でもがく誠吾だが、獣の力は強く、抵抗もままならない。
どうしてやろうかと、誠吾は手に触れた矢を、ぐっと握り締めた。

「ぎゃんッ!」
叫びが上がるのと同時に、誠吾を押さえつけていた躯が跳ね飛ばされる。
横合いから何かが体当たりをかましたのだと、誠吾が認識するより早く、その金色の獅子は誠吾を護るように、狼の前へと立ちふさがった。
「アデイール!」
誠吾が助けに来た男の名を呼ぶ。
金の獅子と銀の狼は、それぞれ向かい合って威嚇のうなりを上げた。
それぞれが体勢を低くして、今にも相手に飛び掛らんばかりだ。
獅子は、誠吾を背に一歩も引く様子は無い。
誠吾もじっとアデイールの背を見つめた。
これは、アデイール自身の戦いだ。誠吾が今、矢を射れば、勝敗は簡単に決するだろう。だが、それでは意味が無い。
獅子に、狼が飛び掛った。お互いに相手の首を狙っている。
爪を研ぎ、牙を剥き、相手を完膚なきまでに屈服させるために戦う獣たち。
既に、お互いの身体は傷だらけだ。
段々と攻撃に対する獅子の防御が弱まる。
誠吾の目にも、もう勝敗は明らかだった。
狼が、首筋に牙を立て、獅子が膝を付く。
それきり、どっと音を立てて、金色の獅子が倒れた。

狼が勝者の余裕で、誠吾に向かってゆっくりと歩を進める。
それに向かって、誠吾はぴたりと、狼の眉間へ弓の狙いを定めていた。
「悪いが、サディ。俺はお前らの勝ち取ったメスじゃない」
銀狼が不満げに低くうなる。
「俺が選んだのはアデイールだ。お前が何をしようが、俺の心は決まっている」
狼が、高く飛んだ。
そのわき腹ギリギリを、矢が掠める。
狼の身体が弾き飛ばされ、ベッドの脇に落ちた。
その狼に向けて、誠吾は二本目の矢を既につかえている。
「出て行け」
誠吾の声はあくまで静かだ。
サディは立ち上がると、身体を降って、ドアを器用に開いて出て行く。
その後姿を眺めていた誠吾は、すごすごと肩を落としたアデイールまでもが同じように扉を開くのを見咎め、慌てて、扉へ駆け寄った。
かんぬきを下ろし、アデイールの首を抱え込む。
「お前まで、出て行くことは無いだろう?」
誠吾は、アデイールの傷を見ようと、風呂の湯を使って、血を洗い落とした。
「それとも、情けないとか思っているのか? 第一、お前が争うこと自体がおかしいんだ。俺は『お前のセスリム』だろう?」
命に関わるような傷は無い。小さいものばかりだ。だが、効果的に付けられたのだろう。出血が多かった。
「あんの、サド野郎」
思わず日本語で呟いた誠吾を、アデイールがきょとんとした目で見つめている。大きな獣がそんな表情をするのを見ると、やはり、アデイールはアデイールだと、誠吾は改めて思った。
「アデイール。休もう」
アデイールを伴って、ベッドへ上がろうとすると、首を振って、抵抗を示す。
「アデイール。いいんだ。もういい」
首を振るアデイールに、誠吾は腕を巻きつけた。
次の新月で誠吾がアデイールの番いでは無いと、明らかになるだろうとアデイールは云った。
アデイールにとって、王になることに大きな意味は無い。
だが、いい王であろうとするこの少年の気持ちが大事だと、誠吾は心から思う。
誠吾は夜着を自分から落とした。


*これより先、15禁。ご承知の上、お進みください。

この少年の気持ちを護るために自分が出来ることがあるのなら、それで構わない。
浅黒いトレクジェクサの国にはいない、象牙色の肌はアデイールの目にはどう映るのだろう。
こんな倍も年上の男の裸など見たら萎えるかもしれない。
いつまでも自分の傍にこようとはしないアデイールに、覚悟を決めたはずの誠吾の決心が揺らぎ始める。
だが、それは無用の心配だった。考え込んで、うつむいてしまった誠吾に、アデイールが猛然と圧し掛かってくる。
そのまま、ベッドへと押し倒された。
初めは唇を舐められる。キスのつもりだろう。誠吾も、アデイールの頭を抱え込んでキスを返す。残念ながら、獅子相手では軽い触れ合うキスしか出来ない。
舌は首筋から胸、腹と、どんどんと下へと降りていく。
態となのか、それとも、遠慮しているのか、肝心な部分は避けて、足元までを獣の舌が這い回る。
まるで味あうようなそれに、誠吾がクスリと笑った。
誠吾の笑いを聞きとがめたらしいアデイールが、のそりと誠吾の上から顔を覗き込んでくる。
「アデイール、くすぐったいよ」
云いながら、誠吾はアデイールの熱に手を伸ばした。
既に充分なくらいに充実したそれを、誠吾はゆっくりと煽り立てる。アデイールの顔が絶え入るように逸らされた。
「アデイール。俺に見せてくれよ」
誠吾の言葉に顔を上げたアデイールの瞳は、雄の欲望を如実に示している。
今にも噛み付きそうなソレが、誠吾には心地よかった。
いくら覚悟を決めたと云っても、どうせなら、切実な程、求められたい。それが男としてのプライドをねじ伏せる誠吾の中の一線だ。
アデイールが、全身を使って、器用に誠吾をひっくり返す。
煽って充分に濡らした筈だが、痛みはあるだろう。
誠吾がぎゅっと目を閉じたとき、背中を濡れた舌が這った。
獣独特のざらりとした舌触りに、誠吾の背筋が震える。
やがて、舌はアデイールの目的の場所へと達した。受け入れるそこを、アデイールの長い舌が、一心に嘗め回す。
「アデイールっ、そんなことまでしなくて、もッ…!」
思わず上げた声がかすれた。アデイールの舌は、そこと同時に、誠吾の欲望にも触れてくる。
「やめ、ん…ッ、アデ、イール…」
誠吾の腕が力なく、くず折れる。最初は獣の体勢の誠吾に圧し掛かるような形のアデイールだったが、今は、だらしなく弛緩した腕は用を成さず、肩を付いた誠吾の腰だけが、揺らめいている。
「もう、いい。…アデイール」
これ以上は、アデイールの名さえ、呼べそうに無かった。翻弄されるだけの交わりをアデイール相手にするつもりは無い。
「来い…」
自分から望んだのだと、アデイールに知らしめなければ意味が無いのだ。
誠吾の言葉に誘われるように、アデイールは欲望を押し付けてくる。
獅子の熱が誠吾を貫いたとき、誠吾の口からは声にならない絶叫が漏れた。


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