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身勝手な男たち<1> 

とあるゲイカップルを新入社員の目線で見てみました。
本編「身勝手な男」シリーズはこちら

<2> <3> <4> <5>完



「小島くん、彼が君の教育係の佐伯君だ」
「はい」
返事をした声が裏返った。豪胆だと大学時代に散々言われていた俺も、いわゆるところ、人の子だったようだ。
「営業部の佐伯英次だ」
俺が前に立った男を、馬鹿みたいに口あけて見詰めたのは、無理からぬことだと思って欲しい。
いや、なんで?って、その男の綺麗なことといったら、この世のものとは思えない程だった。鋭い眼光を放つ切れ長の瞳、すっきりとした鼻梁。絶妙のフェイスライン。
白皙の美貌云うのは、こういうものかと思ったね。
「小島、見とれてないで、自己紹介くらいはやっとけよ」
声を掛けられて、はっと我に帰る。顔を上げると、総務部長のいかつい顔が笑いを堪えていた。
「こ、小島康之です! よろしくお願いしますッ!」
頭に血が昇ったまま、慌てて、頭を下げる。
「こちらこそ」
それに対して、俺の教育係だと紹介された美貌の男は、抑揚の無い声で、いかにも面倒くさいと云う様子を隠してなかった。
そんなに嫌ですか? 教育係。
「小島」
余計な言葉は一切発せずに、佐伯さんは顎をしゃくる。付いて来いという事なのだろう。俺はちょっとドナドナな気分で、とぼとぼと佐伯さんの後を歩いていった。
「営業部だ」
ドアの前で佐伯さんが立ち止まる。無言で促されて、中に入った。
「今日からお世話になります! 小島康之です! よろしくお願いします!」
俺は、サークルの先輩に教わった通りに、はきはきと身体を45度に折って頭を下げる。
「おお、元気で結構! 石田だ、よろしく頼む」
「大学は城南だな。俺も先輩だ。工藤利章」
手前にいた二人が、俺を奥へと伴ってくれる。
良かった。営業部は、佐伯さんからイメージしていたのとはずいぶん違う、明るい雰囲気の部署だったようだ。
「林主任。新人です」
佐伯さんは、いかにもぶすっと奥のデスクに声を掛ける。この人は、たとえ上司であってもこのペースは崩さないらしい。
「小島康之くんか。営業課主任の林だ。本来なら営業課で教育係を出すんだが、今回は営業ででかい契約を抱えている最中でな。すまんが、営業事務課の佐伯くんに頼んである」
「え?」
営業事務課???
「しばらくは営業事務課の仕事を覚えてくれ」
「ええ~~ッ!」
それって、俺、営業事務課ってこと? 営業希望が通ったってことじゃないの?
「そんな残念そうな顔をしなくても、君は営業課の所属だ。安心してくれ」
は? 何ソレ。じゃ、何で営業事務の仕事なんか覚えなきゃいけないんだ?
「小島。納得出来ないなら、出来ないでいいが、今日の仕事のサボタージュはさせんぞ」
俺の不満は、思いっきり顔に出ていたらしい。佐伯さんがデスクに向かいながら、きっぱりと云った。
「そうよ、ボーヤ。営業課か忙しいとなれば、サポートしている私らも忙しいんだからね。営業部の藤の局よ。新庄路子。判らないことがあったら聞いて頂戴」
いきなりのボーや扱いに、反論のしようとする口は、目の前の人物に圧倒されてつぐむしか無い。OLというより、どっかの店のチイママと云われた方が、納得出来そうなグラマー美女がそこにいた。
「新庄さん、怯えちゃいますよ。佐藤です。よろしく」
にっこりと微笑んだのは、いまどきめったにお目に掛かれない、ロングストレートの黒髪の、人形みたいに可愛らしい女の子。
「君も、あまり最初からキツイこと云わないでね。営業事務課の主任で井上です。しばらく営業課から君をお預かりします」
佐藤さんにメッと叱るような視線を向けた後、井上主任は柔らかに微笑んだ。
あー、良かった。主任は縁無し眼鏡の、痩せた普通のオッサンだった。営業事務課はあまりの華やかさに圧倒されそうな雰囲気で、俺は知らずに息を呑み込む。
一癖どころかふた癖も三癖もありそうな先輩方に、俺はちょっとだけ、進路を誤ったかも……等と考えて、ため息を付いた。


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