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通り雨<2> 

何も考えないで、克利に従うと決めたのは亮だ。克利の望む縁の切り方に口を挟むことなど亮に出来るはずも無い。
そして、出来ればこんな自分に呆れ果てて、幼馴染が早く立ち去ってくれることが、今の亮の願いだった。


*これより先、15禁。ご承知の上、お進みください。

ひたすら、克利に教えられた通りに、克利の欲望を煽る。
「素直だな。可愛いぞ、亮」
髪を梳く手が優しい。こんな真似をさせながらも、克利は機嫌がいいのだと亮は思った。
「に、兄さ、一体どういう…」
「組にいたのを、俺が貰い受けた」
目の前の出来事が信じられないらしい克高に、克利はあっさりと答える。
「亮、ちゃんが? ヤクザ?」
「ああ。しかも、こんな近くで、な」
会話を聞きたくない亮は、ひたすら欲望へ奉仕することだけに専念した。
舌で形を辿り、唇で扱き上げる。先端に丁寧に舌を這わせ、出てくる先走りを舐めとった。
「う、ふ、…っ」
苦しくて、声が漏れる。克利のソレは結構大きめだ。早くイってくれないかと、いい加減思っていた時、がたんと立ち上がる音がした。
「だからって、こんな…! 最低だよ、兄さん!」
部屋を出て行く克高の足音は、怒り任せの荒々しいものだ。重いマンションのドアが思いっきり叩きつけられるように閉じられるのを感じて、亮はほっと肩を撫で下ろす。
「もういい。亮」
許しが出たことに、意外な感じがして、亮は克利を怪訝な表情で見上げてしまった。
「ベッドへ行け。続きだ。こんなんじゃ満足出来ない」
いい放った克利の声は、冷たく凍てついた氷のようだ。ぞくりと背筋を悪寒が走る。これは今夜も一晩中苛まれることは決まったようなものだろう。
「はい、先生」
「違うだろう? 亮?」
「はい。とし兄ちゃん…」
「いい子だ、亮」
素直に呼び方を変えると、克利の表情が柔らかくなった。克利のこの執着が怖くもあり、同時に安心もするのは、きっと自分も何処かがおかしいからだ。
ぐずぐずしていれば、機嫌が下降するのは判りきっている。素直に克利のいう事を聞くのが、得策だろう。亮は、ベッドルームへの扉を開いて、自分を苛む男を招きいれた。


翌日は、昼近くに目が覚める。
当たり前だ。朝まで克利は亮を離さなかった。これで、起きろと云う方がどうかしている。
正直、まだ腰ががくがくしていた。
シャワーを浴びようとして、身体を起こすと、どろりとした液体が内股を伝う。
いつもなら、必ず始末をつけてくれる筈の克利が、態とそれを残したのは明白だ。
余程、克高のことが気に入らなかったようだ。
「かっちゃん、か」
隣に住む兄弟のことを、亮は確かそう呼んでいた。
元々、克高と自分が友達だった筈だ。だが、泣いてるときに来てくれるのは、いつも克利で。かっちゃんのお兄ちゃんと最初は呼んでいた気がする。
「まぁ、昔のことだな」
呟いて、亮はシャワーを浴びに向かった。せっかくいい肉を買ったのに、昨日のステーキでは、既に残り物だ。そのまま出す訳にはいかない。
「何かでごまかさねぇと」
ワインかソースで煮込んでしまえば、いいだろうと買い物のプランを考える。
コックを捻って、自分の股間へと押し当てた。足を開いたこの格好も情け無いもので、泣きそうになる。
当然、克利の確信犯なのは明確だ。
「何が気に触ったんだかなぁ。難しい先生だぜ」
亮は、洗い流しながら、どうしようもないことを呟くしか無い。実際、こんなことを正面きって聞けるような度胸も無い。ヤクザと云っても所詮はチンピラの使いっぱしりだった男なのだ。


「亮ちゃん!」
後ろから掛かった声に、亮が歩みを止めることは無い。
昨日の今日で、まともに顔を見れるはずもないのに、そんな頭も廻らないのか? と、亮は自分の頭の悪さも棚に上げて、心の中で罵った。
「亮ちゃん! 待ってくれ!」
だが、空気の読めない男は、大声で自分の名を呼びながら、後ろを付いてくる。
マンションの途中にある人気の無い公園に差し掛かったところで、やっと亮は足を止めた。
「いい加減にしろや!」
後ろを振り返って怒鳴りつけると、克高はすまなそうな顔でこちらを見ている。
「ごめん。兄さんがあんなことしてるなんて…」
ところが、克高が頭を垂れたのは、まったく見当違いのことだった。
「あのなぁ、フツー、逆じゃねーのかよ? 俺はアンタの兄貴のアレ咥えるような男だぜ?」
「だって、それは兄さんに強要されて…」
「ハン! あんたの兄貴も気の毒にな。俺なんぞに血迷ってヤクザの仲間になった上に、弟にまで鬼畜扱いか」
なおも謝ろうとする克高に、亮はイライラする。この男の中では、自分はきっと気の毒な子供のままなのだろう。
家出をしたのは、十四の頃だ。もう十数年の月日を自分はヤクザとして過ごしてきている。チンピラとは云え、借金の追い込みや、暴力沙汰などお手の物だ。
「亮ちゃ…」
「その呼び方も止してくんねーか。タダでさえ、先生のオンナっつって、組じゃナメられてんだ。これ以上、付きまとうようなら、容赦しねーぜ?」
板に付いたヤクザな口調で、睨めつける。さすがの克高も、絶句したまま首を振った。
信じられないといった目付きだ。
この男は、何処まで鈍いんだと、亮は傍らにつばを吐き捨て、その場を立ち去る。
この後、男がどういう行動に出るかなど、その時の亮には思いも寄らなかった。


何度も鳴るドアホンの音で、目が覚める。
するりと亮の隣を抜け出す克利を、腕を掴んで引き止めた。
「こんな夜中に変っす。俺が行きます」
だるい下半身を叱咤して、亮は玄関へと向かう。組で何かあったのならば、まずは電話が鳴る筈だ。自分にも克利にも、訪ねて来るような友人知人はいない。
「はい?」
ドアホンの位置は、台所のカウンターを挟んだ位置につけてある。
いざと云うときの用心だ。
「警察だ。ここを開けなさい!」
「わかりました」
ここには不味いものは何も置いていない。警察に踏み込まれるような真似は何もしていない筈だ。
「先生、サツの野郎です」
「ち、面倒だな。とっとと帰ってもらおう。通せ、亮」
小型の護身用にもっている拳銃のみが不味いものだ。亮は、それだけを隠し、ドアを開く。
「ここで監禁されている男がいると通報があった」
「はぁ? 監禁? で、ソレって強制っすか?」
からかう様に亮が云うと、警官が黙り込んだ。どうやら、任意で捜索するつもりだったようだ。
「面倒だ。亮、とっとと探して帰ってもらえ」
奥の部屋からする声に、二人の警官はさっさと部屋へと上がる。ダイニングでは、ソファに鷹揚に座り込んだ克利が、ブランデーを開けていた。
「ほっとけ」
付いていこうとする亮を、克利が止める。ソファの隣へと座らせ、ブランデーを傾けながら、酔いにまかせて悪戯を始めた。
亮の首筋にキスをしたり、耳を噛んだり、果てはシャツの隙間から指を差し入れてくる。
「先生、やばいっす。あいつら、帰ってきたら…」
「何が?」
がたがたといろいろな場所を開ける音が寝室から響く。一体、何を探しているのだろうか?
不味い取引のネタも、今は無い筈だ。もちろん、それは亮程度のチンピラに判る範囲でと云うことだが。
克利に可愛がられながらも、亮の頭はそのことで一杯だった。
それは態度にも出ていたらしい。いきなり、克利が亮の耳たぶを噛んだ。
「何を考えてる?」
「何を探してるんすかね?」
「はは。お前は本当に判って無いんだな」
何を?と霞んだ頭で尋ねようとした時、寝室のドアが開いた。
急いで克利から身を離そうとするが、克利はいよいよもって亮の腰を抱き寄せる。
「コレは何だ?」
警官の手に握られていたのは、使われた亮自身も、すっかり忘れていた拘束具だ。ロープやら、手錠やら、鎖やらと云った、いかにもな怪しげな道具である。
「ああ。あれ、何時使ったっけ?」
「お、覚えてないっす!」
答える声が思わず上ずってしまった。最初のうち、抵抗を示す亮を拘束するのに使われていたものだ。
「SM好きのゲイカップルだっていないわけじゃないでしょう? こいつに使ったんですよ」
「本当か?」
ニヤニヤといやらしい笑いを浮かべる克利を、警官は相手にせず、亮に聞いてくる。
さすがの亮も返事には困ったが、ここで黙っていることは得策では無い。叩けば幾らでも埃の出る身なのだ。
「はい」
渋々だがうなずく様子は、どうも恥らっているように見えたようだ。
「紛らわしいことはしないように。ご協力感謝する」
警官はうんざりとした表情を浮かべると、因縁をつけているのと変らないセリフを残して立ち去った。


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