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憧憬の王城<王様の隣・後編> 

「あれなら、イケルと思わないか?」
事が終わったベッドの中で、レスティールがそんなことを云い出す。
「は?」
「あの男なら、お前の方が断然いいし、王も気に入るって。どうやら、王の好みは黒髪で黒瞳らしいし、あんな年寄りなんか、さっさと城から放り出しちまえば…」
レスティールがこういう事を云いだすのは、実のところ、初めてと云う訳では無い。
どうも、自分の愛人を王や、有力貴族の側室に仕立て上げ、自分は裏から実権を握ると云うのに憧れているようだ。
俺自身は、そういうのは面倒くさいと思っているから、何度か抱かれたところで、飽きるのを待って、さっさと暇をもらってくる。
だが、今度の王様は、見たところかなりセイさまに夢中だ。
そんなことを云いだしたら、首でも刎ねられるのでは無いだろうか?
もちろん、俺だって、死に掛けていた俺を助けてくれた、レスティールには恩を感じているし、すぐに俺を貢物代わりに差し出すような男でも、情はある。
「ここは警備の隙は無さそうじゃないか?」
今までのすぐに鼻の下を伸ばしていた、スケベ爺とは違う。
「いや、ここの王様は、結構単独で出歩いているらしいし、セスリムは奥に引っ込んだきりらしいから、いくらでも隙はあるさ」
云いだしたら、レスティールが聞かないのは、十二分に解っていた。俺は一応うなずいておくことにする。
「それに、新月の晩は、警備がつかない風習らしいぞ。決して、外に出るなと念を押された」
「新月の夜?」
何だ? そりゃ。新月なんて、明かりの無い晩に、警備が無いなんて、可笑しな国だ。
俺は上手く行く筈が無いと、確信を持っていた。王様のセイさまを見つめる色を見れば、それは火を見るより明らかだと思っていたのだ。


「おい、王が承知したぞ」
だから、そうレスティールが勢い込んで来たときも、俺はまた誰かに騙されたんだと信じて疑わなかった。
指定されたのは、城の片隅にあるどう見ても使用人が使っているような家だった。
まぁ、何人かにマワされれば事は済むだろうと、単純なレスティールを恨みがましく思いながらも、中へと入る。
意外と中はすっきりと片付けられ、置かれている家具や小物には上流階級のものと思しいものも見受けられた。
うろうろと歩き回り、二階に上がると、寝室があり、綺麗に片付けられたベッドがある。それも、かなりこの家の造りには不似合いな豪奢なもので、これは、本当に誰かの別邸かも。と考え始めたとき、下から上がってくる足音が響いた。
「珍しいな。アデイールがここに来たがるなんて」
足音は二つ。がちゃりと扉の開く音がして、俺はそこにあったついたての陰に身を隠した。


*これより先、15禁。御承知の上、お進みください。

「星明りが綺麗だぞ。アデイール」
ベッドに寝そべったらしい、ぎしりと軋む音がする。
声は、どう聞いても、セイさまに聞こえた。どういうことだろうか?
『アデイール』と云うのは、確か王様の名前だ。
「ふふ、こら、アデイール。くすぐったいよ」
衣擦れの音に、俺は思わず、つばを飲み込んだ。
「あ、…ん。アデ、イ…ール、駄目だ」
セイさまの甘い声に、これ以上、ここにいるのは不味い気がして、俺はそっと部屋を出て行こうと試みる。
星明かりが暗い部屋をうっすらと浮かび上がらせた。
ベッドの上で二つの影がもつれ合う。
それを目にした瞬間、俺の脚は凍り付いていた。
セイさまの上に圧し掛かっている、『アデイール』と呼ばれている相手は、どう見ても、ライオンにしか見えない。
長い舌が、セイさまの身体中を這い回る。
セイさまはそれに、甘く声を上げて応えていた。
「もう、いい。アデイール。来い」
甘えるように身を摺り寄せていた獣に、セイさまが腕を伸ばす。
その言葉にライオンは、喜び勇んで飛び掛った。


気を失ったらしいセイさまの上から、獣が退く。
その瞳は、俺をしっかりと捉えていた。
ニヤリと獣の瞳が笑う。それを見た瞬間、俺は『見せつけられた』ことを思い知った。どうやら、あのときに、セイさまを抱きしめたいと感じたのを、見透かされていたらしい。
うっすらと朝の光が挿す中で、獣は人間の形を取り戻していった。
「セイは俺のものだ。俺の孤独をセイだけが癒してくれる。俺から、セイを奪おうとする奴らを、俺は決して許しはしない。お前の男にも良く云っておけ」
ぎらりと光る獣の瞳のまま、王様が俺を睨みすえる。
俺は、そのまま壊れた人形のようにうなずくと、急いでその場から駆け出した。


「大丈夫だったか?」
どうやら、レスティールは俺を探していたらしい。
息せき切って、走ってくるのと、危うくぶつかるところだった。
「ココは、新月の夜には、獣たちが寄ってくるらしい! お前、無事か? 何処も怪我は無いか?」
どうやら、朝から話を聞いて俺を探していたのだろう。
「うん。無事だよ。でも、危うく王様の怒りを買うところだった」
「不味かったのか!」
一気に青くなるレスティールを、俺は少々、脅しておく事にした。
「うん。セイさまに何かしようとするなら、投獄してやるって」
「べ、別に、セスリムに何かしようとした訳では…」
嘘付け。城から放り出せとか云ってた癖に。
「レスティール。俺、アンタが好きだから。もう、他の奴の相手は嫌だな」
「え?」
こすっからい男だが、優しいところもあるのだ。
少なくとも、俺を誰かに売りつけて、そのまんまとんずらすることだけは無かった。
「ホントか? ホントにか?」
「さぁ。どうだろう?」
疑わしそうに繰り返す、レスティールに、俺はあいまいな微笑を浮かべるに留める。
今日も快晴。さっさと城からなんか出て、街で公演に励もう!


<おわり>


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