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不倫<4> 

「お、お前、何で……」
「どっか話の出来るトコ入ろーぜ。道でやれる話じゃねーだろ」
「ドコ行けば……」
「お前、バレたくねーんだろ? マックやファミレスってワケにもいかねーし、」


究極の選択で入ったのは、結局ゲイオッケーなラブホだった。
「男同士でも入れんだな」
「ああ、そーゆートコだから」
浩二はじっとこっちを見ている。俺はベッドに腰掛けたまま、うなだれているしかない。
「お前、ホモなのかよ?」
「オンナとしたくねーワケじゃねーから、違うかも」
浩二はため息を付いて、俺の横に寝転んだ。
「ツトム、今日の昼からおかしかったからさ。悪いと思ったけど、後ツケたんだ」
「バスケ部、いいのかよ?」
「休んだ。お前の方が大事」
さらりと云われて、鼻の奥がつんとなる。
「誰かと待ち合わせだったのか?」
「へへ、解る?」
わざとふざけて云った。
「年上のリーマンと付き合ってんの。俺は本気だけど、向こうはアソビ。うまく騙してるつもりなんだろーけどさ。知ってんだー、俺、ヤツが妻子持ちだって」
「なんだよ、ソレ。なんで騙されてんの判ってて付き合ってんだよ!」
「さー、何でだろ?」
判んねーよ、俺も。
「ただ、好きなんだよな。ただのオッサンなのに、さ。よく考えりゃ、独身だなんて聞いてないし、騙したとは云えねーかも」
「かーっ、わっかんねー。何で付き合うことになったんだよ?」
何でだったっけ? 
「あそこの公園。ゲイの連中のヤリ場なんだよな。で、あそこでカツアゲやってる野郎どもがいて、それに絡まれてるのを助けたのがキッカケ。助けてみたら、余計なお世話ってヤツだったけどな」
助けに入った筈の俺が、むしろ助けられる破目になって、カッコ悪いったらありゃしねー。
「それで、メシ食ったりしてるうちに、なんとなく」
一月に二度かせいぜい多くても三度の逢瀬。
「ツトム、何でスーツ着てんの?」
「いや、社会人だって嘘吐いてっから。高校生なんて相手にしてもらえねーだろ?」
「すまん!」
いきなり起き上がった浩二に頭を下げられて、俺は目を丸くしてたと思う。
「俺、すんげぇ無神経なことやっちまって。まさか、お前がそんなので悩んでるなんて思わなくて――――」
浩二は完全に誤解してる。俺はお前に頭を下げられるようなヤツじゃない。
「そんなの、関係ねーだろ。全部俺の所為だよ、俺の自業自得ってヤツ」
「でも、俺―――――」
更に済まなそうな顔になる浩二を、俺はこれ以上見てられねー。
「俺と相手の男の問題さ。不倫なんてよ、だせぇ真似しちまったのは、さ」
「ツトム……」
「寝よーぜ。せっかく部屋とったんだからさ。今更、家も帰れねーだろ」
終電はとっくに出た後だ。
「ダチんとこ泊まるってコトにしてる」
「じゃ、モンダイねーな」
俺はスーツを脱いで、ベッドへ潜り込む。浩二も俺に習って、制服だけ脱いで、俺の隣に潜り込んできた。
「修学旅行みてー」
「そうだな」
笑う浩二に背を向けるように、俺は背中を丸めて眠りにつく。
朝になったらやらなきゃいけないコトを、頭の中で繰り返しながら。


「おい、浩二。起きろよ」
俺が浩二を起こすと、浩二はうるさそうに肩をゆすっている俺の手を振りほどく。
「えー、まだ、早えーじゃん、もうちょっと」
「ここラブホだぞ。人目の無いうちに出るぞ」
耳元で怒鳴ると、浩二がようやく目を開ける。
「うー、眠みー」
ふらふらしながら、バスルームに向かう浩二を俺は見送って、スーツを身に着けた。
「うっわ、ナニ? すっげー、ここ、風呂場丸見えじゃん」
「たりめーだ。お前、ラブホ――――初めてだよな。彼女いねーんだっけ?」
「くっそ、ヨユーの発言が腹立つぞ」
俺たちは言い合いながら、身支度を整えて、駅へ向かった。


駅のロッカーで姿を変えた、俺と浩二は、無言で学校へ向かう。
二人とも疲れていて、眠かった。
机の上につっぷすと、浩二はすぐに寝息をたてて、眠りはじめた。きっとイロイロ考えて眠れなかったんだろう。
俺の所為だと思うと、決着は早めに着けた方がいい気がした。


俺は浩二が寝ている横で、メールを打った。

『いままで、楽しかった。ありがとう』

「別れよう」とか、「終わりにしよう」とか書く気にはなれなかった。云いたいことはイロイロあったけど、ソレを書いたら、今まで自分が背伸びしてきたものも、台無しになる気がする。
一言だけでいい。楽しかったのも、嘘じゃ無い。
浩二とコウイチさん。どっちを選べと云われれば、俺には浩二しか選べねー。

送信した後、メールと着信の履歴を消し、着拒のボックスにコウイチさんのナンバーを登録する。
これで、俺とあの人のつながりは、全部消え失せた。
ロッカーに入ってるスーツも処分しよう。
しばらくはマジメにバイトに精出すのもありかもしんねー。


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