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遥かなる星の軌道<14>完 

すみません。今回最初っから15禁です。御承知の上、お読みください。


闘うことで高揚した精神は、今やすっかりと昂ぶっている。
しかも、今夜は新月だ。
トレクジェクサで『一族』と呼ばれる人々は、月の護りの無い晩に、獣へと変貌を遂げる。
それは姿形だけでは無い。その精神も獣のそれに引きずられるのだ。
街灯の明かりだけが差し込む薄暗い部屋で、銀の狼の毛並みが光っている。
手触りのよいそれを、幾度も梳いた。
そんな行為さえ、興奮する自分を宥めすかしながら、サディを背後から抱き締める。
そのまま、誠司は自身をサディのそこに擦り付ける。最後までやる気は無い。いつものサディにはありえない細さをもった下半身では、さすがに苦しそうな気がしたからだ。
そして、擦り付けながら、前を煽るに留めた。
押し殺したうなり声は、充分に誠司の快感を引き出した。その声だけで達しそうな気がする。
銀狼の背がしなり、毛並みが震えた。
「サディユース…ッ、」
思わず呼んだ、腕の中の愛おしい相手の名。その相手が、肩越しに振り向く。
まるで、今にも誠司自身に飛び掛りそうな、ぎらぎらとした欲望を宿した獣の瞳。獲物は誠司だ。
「上等、だ」
これを逃すような男は、男ではない。誠司の擦り付けたモノで濡れた入り口に、切っ先を押し付ける。
そのまま、細い腰を抱き寄せたまま、貫いた。
文字通りの獣との交わり。
それでも、構わない。
誠司の脳裏に、父の足元に身を摺り寄せていた金色の獅子の姿が、フラッシュバックした。
父もあの獣と交わっていたのだ。
「親子揃って、まったく…」
口から漏れた声は、自嘲を含んでいたが、それも悪くは無いと思える。
自分たちは、この美しい獣たちに囚われてしまったのだ。
月の無い夜には、共に獣になるのが正しいのだろう。
銀色の毛先から、汗が散った。


かすかな鳥の声に、サディユースは目を開いた。
この東京と云う都会は変っている。
こんなに人口の建物に囲まれているのに、鳥たちは群れ、草花はコンクリートの隙間からでも咲き誇る。
逞しい街だ。
起き上がろうとして、自分の身体に絡む腕に気付く。
誠司は、まだ何処かあどけない顔で、口を半分開いて眠っていた。
昨日、拳銃を持った男相手に、堂々と闘った男とは思えない。
家族では無いサディは、部活中の誠司を見たことも無ければ、大会の応援にも行ったことは無かった。力強く弓を放つ誠司の姿を見たのは、実のところ、初めてである。
自分の頭一つ低い、小柄な誠吾の身体から放たれても、勢いがあったが、体格の変らない誠司の放つものは、それ以上に迫力があった。
あれでは、対峙した男は、腰を抜かしていることだろう。
その男が、今は安心しきった、子供のような寝顔を自分に見せている。
自然と口元が綻んだ。
「サディ?」
身を起したのに反応したものか、誠司の瞳がうっすらと開く。
引き寄せられるままに、口付けを交わした。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
にっこりと微笑む誠司は、まだ半ば眠ったような顔で、こちらを見上げていた。
無理も無い。一日に二度も警察の聴取を受け、帰宅したのは深夜だ。それから、獣欲のままに事に及んでしまったのだから、いくら若くても眠いに決まっている。
まぶたを腕でこすり、伸びをする誠司の姿は、無防備だ。ここのところすっかり成長した男としての顔ばかりを見せてられていたサディには、まだ護る対象としての誠司が、そこにいてくれるようで嬉しい。
いや、そうではない。その二つは同居しているのだ。きっと。
「朝飯、作るから、先にシャワー使っていいか?」
立ち上がった誠司は、すっかりと大人の男の顔で笑う。
背筋を伸ばして風呂場へと向かう男の背には、もう少年の面影は微塵も無かった。


数日後、例のヤクザの事務所に、警察が手入れを行った。
もちろん、壊滅とはいかないものの、ある程度の内偵は行っていたらしく、グエンの同郷の少女の証言をきっかけに商売のひとつを潰すくらいは出来るらしい。
少女は郷里へと帰ることが決まった。
二年後に帰郷するグエンと、どういう約束が出来上がっているか、誠司たちは知らないが、最近では、あの遊び好きなグエンが、週末に遊びにも行かずに、金を溜めているらしい。
技術留学は、賃金の三分の一以上が貯蓄に廻される。三年経って故郷へ帰る頃には、かなりの金額が手に入る仕組みだ。その上に、自分で金を溜めているとなれば、帰る頃には大金持ちかもしれない。

誠司は、相変わらずのアルバイトの日々だ。
卒業に向けて、卒論も万全の体制で臨んでいる。時折、駅の地下化工事の現場へも顔を出していた。
サディは、相変わらず親方と一緒に現場へと出てくるが、誠司の現場でのバイトが終わった今では、共に暮らすことも無い。
地下化の工事も工期は来年までで、それを終えた親方が、何処の現場で働くのかは判らなかった。
ただ、何処で働くにしろ、そこへサディが伴われることは、間違いない事実だ。
時折、家に戻る誠司に、義父は何も云わない。
だが、会話はほとんど無くなった。
プロジェクトへの参加も断った。もしかすると、内定の取り消しも危ぶんだのだが、それは今のところ無い。


「父さん、母さん。話があるんだ」
入社式を終えて、家に顔を出した誠司を、両親は何事かと見つめる。
「今まで育ててくれてありがとう。俺、家を出ることにするよ」
今更なことを云い出した誠司に、義父と母親が怪訝そうに顔を見合わせる。家を出るも何も、誠司は高校の頃から一人暮らしをしているのだ。
「俺は、あのアパートでサディと暮らす。もう家には帰らない。多分、そろそろ武司もおかしいって気付く頃だと思う。俺は、一緒にいない方がいいんじゃないかな?」
誠司なりに考えぬいて出した結論だ。
自分たちがどんなに真剣にお互いを想っていても、義父や母親にはきっと解ってはもらえないだろう。
「俺は本籍をあのアパートへ移した。何なら、遺産放棄の書面にサインしてもいい」
真っ直ぐに自分たちに発された言葉を、誠司の父母は理解できないらしく、ひたすら口を半分開いて、呆然といった表情でこちらを見ている。

「な、何故なの? そこまでするぐらい、サディさんがいいの?」
我に返ったのは、母親の方が早かった。
「うん。俺、多分一生結婚はしない。サディがいいんだ」
云った瞬間に、がたりと音がしたかと思うと、座っていたソファから身体が吹っ飛んだ。
見上げると肩で息をした義父がこちらを見下ろし、その身体を母親が抑えている。
殴られるのは覚悟していたから、何とも思わない。
「お前なんか、もう、うちの子じゃねぇ。出てけ!」
抑えた口調なのが、いっそ小気味良いくらいに父の怒りを表していると、誠司は思った。
頭を下げて、その場を去る。
弟が留守なのが、本当に有り難かった。

アパートへと戻る途中にある公園は、サディと自分が戻ってきたところだ。桜の大樹は、満開の花を散らしつつある。
ビルの谷間に位置する小さな公園。トレクジェクサから帰って来たあの日に、全てがここから始まった。
舞い散る花に惹かれるままに、近くへと寄ると、そこには、銀髪の男が一人。
「サディユース?」
「セージ…」
腫れ上がった頬を、サディの手が包み込む。こぼれそうになる涙をぐっと堪えた。
ビルの向こうに、あの日の光景が霞んだ。
見えるはずの無い、異世界の山は、今日もそこにある。
明るすぎる都会のネオンに消されても、星の軌道は、確かにそこに存在するように。


<おわり>


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~ Comment ~

Re: 漸く拝読…

いえいえ、完結してからの一気読みも嬉しいですよ。
二人にとっては現代での生活はつらいかもしれませんが、それでも身を寄せ合って生きていく気概を感じていただけたらと思います。
ありがとうございました。
[2009/07/29 22:17] 真名あきら [ 編集 ]

漸く拝読…

ご無沙汰してしまってすみません!
完結してから~と思っていたら、あっという間に日が流れ(汗
一気読みで充実感溢れてます!!が、漸く読めて、そしてビックリ!!
サディ受けだったんですねΣ(`・ω・屮)屮 オオォォォオォ
この2人ならリバもいけそうですが…(ちょっと期待w
この世界に来たサディがどうなっているのか、凄く気になっていたので、お話が読めて嬉しかったです。
でも、2人にとっても、あちらの世界の方が暮らしやすいのかもしれないですね…。
たまに行き来出来ればいいのになぁ~などと思いつつ(苦笑)
素敵なお話ありがとうございました!
[2009/07/28 22:22] 柚子季杏 [ 編集 ]

面白かったです>

内緒コメさま>
ありがとうございます。
現実はきっと厳しいとは思いますが、愛の力で乗り切っていってくれるとは思います。
[2009/07/06 21:26] 真名あきら [ 編集 ]

セージ&サディは>

内緒コメさま>
これからも二人は頑張って都会の片隅で生きていきます。ガタイが良くても愛があれば、ですね(笑
[2009/07/05 10:33] 真名あきら [ 編集 ]

帰った後どうなったか>

内緒コメさま>
気にしててもらえて、誠司とサディは幸せモノです。
ソルフェースファンなのですね。ソルフェース視点の話も入れますので、ぜひお楽しみください。
[2009/07/03 21:07] 真名あきら [ 編集 ]

Re: こんばんは!

内緒コメさま>
受け攻めは父子で逆でした(笑
メール、返信させていただいています。
御確認よろしく。
[2009/07/02 22:09] 真名あきら [ 編集 ]

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[2009/07/02 00:15] - [ 編集 ]

サディが受けとは>

内緒コメさま>
受けで意外でしたか?
でも、楽しんでいただけたようで、嬉しいです。
また読みにきてくださいね。
[2009/06/29 23:12] 真名あきら [ 編集 ]















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