スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
*Edit TB(-) | CO(-) 


転げ落ちた後で<5> 

「う…、ん」
ぐったりとなった鈴木の薄い身体を、そっとベッドに横たえる。
触れるだけのキスをすると、ぱちりと鈴木の瞳が開いた。
「起きたか?」
「ああ。あれ、犬っころは?」
「風見のことか?」
確かにあの懐きようは犬に近いものがあるが、はっきりと云われて嬉しいものでもない。
「可愛いじゃないか。忠犬だよな」
「俺よりでかい男に懐かれてもな」
「顔は可愛いし、背は高いけど、細っこいじゃないか」
お前の好みじゃないのか? 笑いながら云う鈴木の口を、キスで塞いだ。
そのまま、覆いかぶさる。
「俺、風呂も入ってないぞ」
「後で俺が入れてやるし、飯も食わせてやる」
だから、やらせろと、そのまま愛撫の手を滑らせた。


*コレより先、15禁。御承知の上、お進みください。

深い口付けで口腔を蹂躙しながら、鈴木の身体をまさぐる。一番やせ細っていた一時期に比べて、肉はついては来ているものの、それでもまだ細い身体だ。
丁寧に壊れ物を扱うようにゆっくりと高まらせ、それによって興奮を示す股間を煽り立てる。
濡れた指で内部を探り、一番感じる部分を暴き立てた。
鈴木のそこが収縮する。
「おい、あんまり焦らすな」
明らかな命令に、渥美は素直に従った。我慢が利かないのは、自分も同じだからだ。
痛いぐらいに興奮した己を、鈴木の中へと進める。
「一回だけだぞ」
「もちろん。明日も仕事だしな」
念押しする鈴木に、当たり前だと渥美がうなずく。
美味しいシチュエーションに、ついがっついてしまったが、無理をさせるつもりは無い。
落ち着くのを待って、そのまま、激しく動き始める。
「あ、ん…」
薄く開いた唇から、小さな喘ぎが漏れた。


「妬いてくれないのか?」
唐突に渥美が云いだしたのは、椅子代わりになって、鈴木を寄りかからせた湯船の中だ。
渥美の家のひのき風呂は湯船がでかく、セックスのあとの疲れた鈴木を一人で入らせたりしようものならば、沈んでしまうのがオチだ。
「妬く? 俺が?」
「あんなに懐かれてさ」
「何だ? 妬いて欲しいのか?」
くすくすと鈴木が笑う。可笑しくて仕方が無いというように。
「俺は、アイツがお前に触れただけで妬けるぞ」
「触れた? 何時?」
覚えがないと、鈴木が首を捻った。当たり前だ、寝ていた間のことなど、覚えている訳が無い。
「俺が覚えてないくらいのことで絡むなよ。可哀相だろう? せっかくあんなに懐いてくれてるのに」
「いやに肩を持つんだな」
「まるで犬っころみたいだろ。大きな図体で」
鈴木が可哀相とか云う度、渥美は段々と不機嫌になって行く。唇を尖らせて、まるで拗ねた子供だ。
「お前、アイツがいいのか?」
ぷっと鈴木が吹き出した。
「馬鹿。俺の忠犬は一匹いれば充分」
鈴木はげらげら笑って、渥美の首へと腕を廻した。

ここ数週間で、風見が調べた限りで判ったことは多くない。渥美と鈴木は、この会社に入ってくるまで交友が無かったらしいことと、上司と部下としてでは無く、普段友人同士として付き合いがあるらしいこと。
食事も、寮暮らしの鈴木が取りそこねることが多いため、一緒にしていること。
とりあえず、翌日の昼休みに渥美を訪ねると、あの時の威嚇が嘘のように、優しく接してくれた。
そのため、風見は調子に乗って、そのまま昼休みの質問攻めは続けている。
早く追いつきたいのだ。一人前になって、渥美の役にたちたい。
それには、まず、営業部での自分の立ち位置を確保しなければ。
香坂にも、かなり食いついた。香坂は、今現在の営業部のナンバーワンで、かなり忙しいはずなのだが、乞われれば相手をしてくれる。
「熱心だね。やる気のある奴が入ってきてくれて嬉しいよ」
「すみません。休憩時間なのに」
「いやいや。早く戦力になってくれそうだ。後は語学力さえ付いてくれればいいかな」
「語学力???」
海外の出先機関は無いという話だったが、何に必要なんだ?と風見が首を捻る。
「ここは、海外からも注目されているパテントも多いんだ。今だと、重油の吸収体スポンジとか、緑化プラントとか。それの見学に研究室を案内することがある。ドイツ語と英語を覚えてくれれば、俺も楽になるかな」
さらりと云われて、風見は泣きそうになった。この上、苦手なドイツ語までやらされるのかと、うんざりするのは仕方が無い。
「苦手ならミーティング後に研修出るか?」
「研修?」
「ミーティング後に10分。語学研修をやってる。教えてくれるのは、ドイツ語と英語、フランス語。それぞれの今の研究室の成果に添ったものになっているから」
解りやすい筈だと云った、香坂の言葉に、一も二も無く風見は飛びついた。
「受けます。受けさせてください!」
この際、ステップアップのチャンスは全てモノにしておきたい。

そう思った風見だったが。
――――聞いてねーよ。
ミーティング後の会議室に移動して、そこにいた講師役を見た瞬間に、思わず呟いた。もちろん、口には出さない。
パイプ椅子に、意外と長い足を綺麗に組んで、気だるそうに腕組みをした男は、営業部・企画課の鈴木、その人だった。
だが、たかが十分ほどの時間であるのに、鈴木の教える内容は非常にわかり易い。
何をやらせても出来る社員。などと云う掘り出し物は、実は滅多に出てこないものだ。
研修やらで優秀でも、思わぬポカをやらかす可能性は山ほどある。
仕事とは人を相手にするものだからだ。
だが、鈴木はあの尊大な態度を崩そうとはしない。それゆえの企画課勤務だろうと云うのは想像に難くないが、だからと云って、そのフォローを全て渥美が引き受けているような形になっているのが、風見には解せないのだ。
人とのかかわりの苦手な部下の為。
だが、それだけでああも献身的に尽くすだろうか?
考え出すとキリがない。とりあえず、逸れがちな意識を、風見は目の前の仕事に集中することで押さえ込んだ。


NEXT

BL小説ランキング
FC2 Blog Ranking

スポンサーサイト
*Edit TB(-) | CO(-) 


Back      Next

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。