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番犬の憂鬱<9> 

今回のっけからR15。
御承知の上、お進みください。

ひどく乱暴だった一度目が終わると、俺にも周囲を見回す余裕が戻ってきた。
「す、すみません、俺…」
「いいよ。誘ったのは俺だ。今度は、ちゃんと俺も楽しませて」
気遣う事さえせずに貪ったことを謝ると、妖しい笑みを浮かべて、課長が俺の首に腕を廻してくる。
もう一度抱ける。思わず、ごくりと喉を鳴らした俺は、けだものそのものの顔をしていた筈だ。
俺の雄に課長の指が触れる。
冷たい指に、一瞬だけすくみ上がったそこは、課長に煽られるままに、すぐに熱さを取り戻した。
「元気だな」
揶揄されるようにクスリと課長が笑う。
「俺も、触った方がいいですか?」
伺うように云うと、課長が眉根を寄せた。
「いいよ。君はゲイじゃ無い。そのうち、抵抗が無くなったら、やってもらうよ」
課長のならば、大丈夫な気がしたんだが、課長は即座に首を振る。煽られるまま、切羽詰ったそこを、課長が自分の中へと導いた。
熱く包み込まれて、息が上がる。
「課長…」
「まさき、だ」
噛んで含めるように云われて、俺はじっと課長の目を見つめた。
「真幸、さん」
十以上も年上の男を呼び捨てになど出来ない。こんなことをしていても、尊敬する相手だということに変りは無かった。
「動いていい。好きなように」
耳朶を甘く噛まれ、耳元で囁かれる。その囁きに俺の細くなった理性がぶちきれるのは、すぐだった。


「真幸、さん」
まだ、照れが勝る呼び方に、俺は戸惑いながらも声を掛けた。
「すっきりしたか?」
抱き込もうとした俺の腕をするりと抜け出し、けろりとした顔で真幸さんが俺を見上げる。
セックスが終わったばかりだとは思えない、そのあっさりとした風情に、俺はますます戸惑ってしまった。
「まぁ、俺のこの顔に迷う男は多いんだよ。そんなに女っぽいとは思わないんだがな」
いつもの事だと笑う真幸さんに、俺は怒りさえ覚える。
「女の代わりにしたつもりはありません」
「いや、そういう意味じゃなく、」
反論しようとした真幸さんが、詰った。そのまま、俺の頬に手を伸ばす。
真幸さんの指に拭われて、俺は自分が泣いていることを知った。
「悪い。興味本位だと決め付けていた」
今更、謝られても困る。つまり、興味本位だったら、相手してやるくらいの気分だったのだろう。本気になった俺が悪い。
「真幸さん…、課長には何でもないことだったのかもしれませんが、俺は…」
何と云っていいものか、言葉に詰る。確かに惑わされたことは事実だが、俺だってもう来年は二十歳になるいい大人だ。理性を失った言い訳を、相手が誘ったからだと云いたくは無い。
しかも、誘われたあげくに本気になりました。じゃ、まるっきりの馬鹿だ。
最初から本気でもないのに、手を出した俺も悪い。
「すみません」
俺は深々と頭を下げた。
「そんなことで課長を攻められないです。すみません、俺も自分勝手でした」
「お前…」
課長の腕が俺の頭を抱きこんだ。
「お前が謝ることか? 見誤った大人の俺が悪いんだろうが」
素肌の感触に、俺たちが二人とも裸のままであることを意識する。
「なぁ、良ければ付き合うか?」
付き合うって???
「俺みたいなオヤジで良ければ、だけどな」
「課長?」
俺は呆然として、課長の顔を見つめてしまった。
「同情なら…、」
「いや。お前が可愛いと思ったのはホントだ。じゃなきゃ、いくら俺でも寝ていいと思うわけ無いだろう」
課長の瞳を覗き込む。そこに嘘は無かった。
「但し、お試しだ」
だが、続く言葉は決して甘いものでは無い。
「お前は男は初めてだろう? 俺に惑わされているだけじゃないって、確認してからにしよう」
「は、はい」
成り行きで関係をもってしまったにしては、これはかなりの好条件だ。嫌だなんて云える訳が無い。
「とりあえずは、恋人未満だ。俺も他で断れない場合もある。そこは譲歩してくれ」
「も、もちろんです」
恋人でもないのに、俺が独占したいなど、それこそ思い上がりだ。貞操観念の薄そうな人だし、そんなことを云い出したら、お払い箱になりかねない。
俺の複雑な胸中は、すっかり顔に出ていたらしい。課長、真幸さんが、ため息と共に、俺の腕を取る。
「お前、誤解しているようだが、特定の相手がいれば、俺は他の奴とは寝ないぞ。相手がいなければ、当然それなりだけどな」
「そ、そうなんですか?」
俺はほっと胸を撫で下ろした。
「ヒロだけは勘弁しろ。アイツは俺の特別だ」
だが、それを逆なでするように、きっぱりと宣言される。ヒロさんは特別なんだ。友人の範囲だと判ってはいても、淀んだ気分になるのは仕方が無い。
「アイツには、幸せになって欲しいんだ」
瞳をすがめ、遠くを見る真幸さんに、俺は重くなる気分を払いきれなかった。

それを見透かしたように、真幸さんと俺の腹が盛大な音を立てる。
そのユニゾンの見事さに、俺たちは顔を見合わせて大笑いしてしまった。
そう云えば、朝食の途中だったんだ。
「味噌汁。すっかり冷めちゃいましたね」
「そうだな。温めてくれると嬉しいかな」
俺は味噌汁を鍋に戻し、台所へと戻る。ついでに、冷めたご飯はチャーハンにでもしようと、卵を割った。


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