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収穫期<水の魔法陣・焔の剣・番外> 

久々のBL観潮楼秋のお題「秋の風景」+「秋の夜長」で。
秋のお題作品一覧はこちら

<水の魔法陣・焔の剣>より。収穫期のリベアとソルフェースです。
なお、こちらのSSはフリーといたします。
観潮楼のお題であればいかように使っていただいても構いません。
ご報告さえしていただければ結構です。


【収穫期】


ふっと目を覚ました。
まだ、頭が重い。
「リベアさま。お目覚めですか?」
従卒のマーロウが声を掛ける。うっすらと瞳を開くと、すっかりと成長した若木のような青年が覗きこんできた。
「ずっと、いたのか? もういいから部屋へ戻れ」
咳き込みながらの言葉は明瞭では無かったが、いくら従卒とは云え、立派に騎士となったマーロウに、昼夜を問わずに看病などさせる訳にはいかない。
「そういう訳には参りません。せめて、熱が下がるまで」
「お前がいたら、蒼流を呼べない」
蒼流というのはリベアが契約をしている神竜の名だ。という事になっている。
マーロウははっとしたように、身を正した。
確かに水竜の魔力であれば、自分などが看病するよりも、もっと早く病も癒えるに違いない。
「判りました。必ず、呼んでくださいね」
「ああ」
返事をするのもだるい。
マーロウが部屋を出て行くのを待ちかねたように、リベアの意識は遠のいて行った。


ひんやりとした感触が額に触れる。
気持ちの良いそれに目を開くと、秀麗な魔術師の姿がそこにあった。
「ソル?」
「何が、呼べないだ。アイツがいなくなっても呼ばない癖に」
「すまん」
先ほどまで、喉の奥が熱く、かすれた声しか出せなかった筈が、するりと声が出た。
リベアの本来の契約者・蒼のソルフェースだ。蒼流と呼ばれる水竜は、ソルフェースの使い魔である。もっともそれを知るのは、魔術師たちだけだが。
冷たい指が頬に触れた。
すっとそこから熱が引いていくのが判る。
「疲れが堪っているな」
先日、辺境地域で大きな戦闘が行われたばかりだ。騎士たちの中にも未だ傷の癒えないものも多い。
本来ならば、田舎育ちで鍛えた体躯を誇るリベアだ。この程度の病魔で寝込むことなどありえないのだ。
「せっかく来たのに、すまんな」
ソルフェースがリベアの部屋へと訪れるときは、大概が躯の関係を求めてのことだ。寝込んでいるのでは、それも出来ないだろう。
「別にそれだけが目的な訳じゃない」
出会った頃と変らず、若く秀麗なままの魔術師の冷たい容貌が、拗ねたような色を浮かべる。その顔に、リベアは思わず笑いを誘われた。
「とにかく、寝ろ。よく休むんだ」
毛布の上から、ぽんと叩かれる。幼い頃に母親にされたそれをこんな若い容貌の魔術師が行うのが可笑しくて、くすくすと笑いが漏れる。
それにますます拗ねたように顔をしかめて、魔術師はそっぽを向く。
だが、立ち去ろうとはしない。
粗末な木造りのベッドの傍らに椅子を引き寄せ、そのまま窓の外へと視線を移した。
その横顔を眺めながら、リベアは襲ってくる睡魔に身を任せる。
数日、熱をまとっていた肉体は、さすがに休息を求めていた。


「リベアさま。お目覚めになられましたか?」
目を開くと、そこには既に魔術師の姿は無い。従卒であるマーロウが心配そうに覗き込んでいた。
「ああ。もう大丈夫だ」
熱は完全に引いている。多少だるさは残るが、それはおそらく数日寝込んでいた所為だろう。
「食事はどうなさいます? リベアさまのお好きな鶏のスープを用意してございますが」
「そうだな。もらおう」
甲斐甲斐しく世話を焼くマーロウに、最初の頃こそ抵抗のあったリベアだが、最近では好きな様にさせている。
こうやって世話を焼かれるのも上のものの役目だ。英雄の座を得た時点で諦めねばならないものもある。
温かなスープは腹の底から温まる。
身体も拭いてもらって、すっきりとしたところで、マーロウがふと顔を上げた。
「リベアさま、どなたかお見舞いに見えられましたか?」
「え?」
マーロウの視線を追うと、窓際の文机の前に置かれた山盛りの果実が目に入った。
色とりどりの実りは、収穫期の今ならでは手に入るものではあるが、それでも集めるには相当の足を使わねばならない。
「あのように沢山」
昨日、マーロウがこの部屋を去ってからなら、もちろんこの同じ塔の騎士の誰かだろう。高位の騎士の多い、第一騎士団や近衛の騎士ならば、金で手に入ることは確かだが、それでもこれだけの種類を集めるのであれば、かなりの金額と時間を使った筈だ。
「いや、蒼流だ」
そのマーロウの意図を汲み取ったリベアは、見舞い返しの必要に悩むことは無いとあっさりと否定する。
「神竜さまが?」
そういう事にしておこう。いくら親しくても、王宮魔術師が夜中に訪ねてくるなど、ありえない事態だ。
「まるで、民話のようだな」
くすりとリベアが笑うと、マーロウが真剣な顔で覗き込んでくる。
「御心配でいらしたのですよ。どれかお食べになりますか?」
「いや、もうしばらく眺めておこう」
あの男がどんな顔でこれを置いたのか。想像するだに可笑しいものがあるが、それでもリベアに対する想いの証だ。
それを愛でるのも悪くは無い。

<おわり>

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~ Comment ~

Re: くうっ

るかちゃん>
フリーです。煮るなと焼くなとお好きにしてください。続きだろうが後日談だろうが、HだろうがOK!
もちろん、イラつけてくださるのであれば、大歓迎です!

素直じゃないソルと、素直じゃないリベア。
なんとなく、夫婦漫才のようなきがしますよ。はい(笑
[2010/11/22 19:22] 真名あきら [ 編集 ]

くうっ

久々のお二人に、もう目がキラキラしてしまいました。
ソル様・・・相変わらず、もう・・・。(悶え)
恋人という括りを凌駕して、強く繋がった2人の
この何気ないやり取りが堪らない。
大人の匂いがプンプンするんですよっ。
しかもフリ―ss!!
おおお・・・
[2010/11/22 18:03] るか [ 編集 ]















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