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朝のひととき<西銀座一丁目テーラー角田>番外 

6月に移動した春のJガーデンのときの無料配布&帰っちゃうのポスター作品です。
計画停電等で、予定が崩れまくり、会社で作った短編でした。

角田と栄太の結ばれた朝の様子。
本編はこちら

【朝のひととき】

栄太が目を覚ましたとき、周囲には誰もいなかった。傍らにあった筈のぬくもりは消え去り、昨夜のことは自分の見た都合のいい夢であったかのような気さえしていた。
見覚えの無いベッドから身を起こす。
夕べ着ていたスーツが部屋の隅に掛かっていて、明らかにプレスされている。自分でやる筈もないし、プロの手によるものであるかのような仕上がりに、あの人がやってくれたのだと感じる。

起き上がると、ベッドサイドのテーブルに置かれた手紙が目に入った。
「着替えはこれを使ってください。帰るのならば、スーツのプレスは出来ています」
引き止める言葉さえない手紙に寂しさを感じるが、ここにいても何の役にも立たない自分も知っている。
だが、そのまま帰るのは物悲しい気がして、出された着替えに袖を通す。
いかにもな一人暮らしの部屋。台所と仕切られていたはずのふすまは開け放たれたまま、おそらくは居間だったのであろう場所には、今まで栄太が使っていたベッドがある。
奥の部屋へと続く廊下を辿った。
そこはもともとの子供部屋だったのだろう。大人になったこの家の主には不似合いな勉強机とスタンド。
あの人がこの家で育った証。そっと触れて現実であることを確かめる。
そのまま奥へと続く廊下を辿ると、明かり取り用の窓から店が見下ろせた。
お客に丁寧な仕草で応じる、その背中。
仮縫いのスーツを受け取り、やわらかい中にも真剣な表情でスーツの相談をしている。
ふっと目線をあげた。
栄太と男の視線が絡み合う。
やわらかくその男が微笑んだ。栄太を包み込むような慈愛に満ち溢れた笑顔。
栄太を満たしてくれるその笑顔に、栄太はそっと手を振った。
お客様にはわからないように。二人だけの秘密。

<おわり>

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