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こいぬのお世話<こいぬ5>完 

「庄司ッ!」
激しい空中戦。
コート上でぶつかり合った庄司の躯が落下する。
ダンッ!と普段の着地ではありえない音が響いた。
試合はまだ続いている。庄司が死守したボールを、香月がゴールポスト目指して持っていく。
だが、かなり距離のある位置で止められてしまった。
「須田ッ!」
武藤の指示が飛ぶ。須田香月はじっとゴールポストを睨み付けた。
――――行ける!
ボールは、香月の手からゴール目指して綺麗な弧を描いて飛ぶ。

バサっと音を立てて、ボールが落ちるのと、終了のホイッスルが鳴るのは同時だった。



「せんぱぁい。ねぇ、ご飯作ってよ」
全治2週間。それが庄司の検査結果である。着地したときに足首にひびが入ってしまったのだ。
「ああ。腹減ったのか。俺、カレーくらいしか作れないぞ」
「うんッ!それでいいよ」
元々、甘えっこなトコロのある庄司は、デカイ図体で当たり前の様に、香月のベッドを占領している。
また、香月も当然の様に世話を焼いていた。
昨日は足首の怪我の所為か、熱を出した庄司の看病をしたし、今朝からは大学を休んで付きっきりだ。
「しばらくは大学も無理だな」
「練習は武藤先輩も出なくていいって。多分、般教は真面目に出てたから大丈夫だと思うんだけど」
「明日は俺、行かなきゃ。ドイツ語があるから」
香月が云うと、途端に庄司が寂しげに目を伏せる。しっぽがたらんと垂れているのが見えるようだ。
「庄司。そんな顔すんな。直るまでここにいろ」
「え? いいの?」
庄司は目を輝かせる。だが、こんな状態では家に帰すのは無理だし、第一、庄司はただでさえ香月のアパートに入り浸り状態なのだ。今更いいの?も無い。
「当たり前だろ。俺が全部やってやるからさ」
「やらしい。せんぱい。オヤジみたいだよ」
圧し掛かりながら、そんなことを囁く香月に、口だけは抵抗するような口調の庄司だが、この足では逃げられないし、大して嫌だとも思っていないのだから、そこは香月の思うツボだ。
「なぁ、庄司、いいだろ?」
香月のハンサムな顔が近づいてきて、低い声が耳に吹き込まれると、いつも庄司は抵抗出来ない。もう、中学の時みたいにチビの子犬じゃないのに。とは思うのだが、香月がこんな自分に欲情してくれると云うだけで、嬉しくなってしまう。
「怪我、してるのに……」
「ちゃんと負担掛からない様にやってやるって。第一、昨日は風呂入るのも、トイレ行くのも、俺がやったじゃないか」
「そうだけど」

――――でも、だからって、セックスもって何か違わない?

そう思いはするが、口に出来た例は無かった。
「なぁ、しようぜ」
耳元で囁く声に腰が砕ける。
「せんぱい、やさしくして」
香月は庄司の身体が丈夫なのをいいことに、結構無茶なことをしたがることが多かった。
「ああ、無茶はしないよ」
「う、ん…。あん…」
いきなりキスされて息が上がる。こうなると香月のペースで、何を云っても聞いてくれない。
怪我をして、ギプスで固定された足が抱えあげられる。
「こうすれば、痛くないからさ」
「もう、せんぱいったら」
抗議をしてるのか甘えてるのか良く分からない声を庄司はあげた。



「おい、メシだ」
香月の声で目を覚ますと、すっと皿が差し出される。
「一応、昼過ぎには帰ってくるけど、食っとかないと腹減るぞ」
「うん!」
柔らかく香月が笑うのに、庄司は勢い良く首を振った。しっぽも勢い良く振れているみたいだ。
「ねー、早く帰ってきてね?」
「帰ってこないと、お前の下の世話は誰がやるんだ?」
こともなげに云った香月の言葉に、庄司の顔がぼっと紅く染まる。
「し、信じらんない! もう、先輩のオヤジ!」
庄司の怒鳴り声に見送られて、香月は笑いながらアパートを出て行った。


「こんな楽しいおもちゃ手放せるか」
つぶやいた香月の本音は、一生香月の胸のうちだ。


<おわり>


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<番外>

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