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専業主夫・金居岳の場合<13>完 *R15 

しばらくして戻ってくるなり、理実は岳を抱きしめた。
ベッドに押し倒されて、そこが綺麗に整えられていることに気付く。
「あ、理実」
疑問を出そうとした口は封じられ、こじ開ける勢いで舌が入ってくる。絡みつくそれに浮かされた気分で、岳も自分の舌を絡ませた。
貪るようにお互いの熱を奪い合う。
唇を重ねたまま、互いの服を脱がしあった。直接触れる肌も既に熱い。
腰にあたる理実のそこに手を伸ばそうとした、岳の指は当の理実によって遮られた。
「駄目だよ。岳。今日は俺に触っちゃ駄目。もちろん岳が一人でしても駄目」
焦らすように、柔らかな動きで岳のそこがゆるゆると煽り立てられる。
「さ、とみ……」
濡れた瞳で見上げる岳に、理実は冷ややかだった。
「今日は俺の好きにさせること。それが岳への罰だよ」
耳に熱く吐息を吹きかけられ、耳たぶを食まれる。かすかに走る痛みに下半身がジンと重くなる気がした。
「さと、み」
岳の呼びかけに理実は満足そうに微笑む。岳の中を蠢く指の動きもゆったりとしたもので、岳にゆるい刺激だけしか与えない。
理実の浮かる微笑が薄ら寒い予感を岳に与えた。
緩いだけの愛撫はもはや責め苦に近い。だが、我慢するしかなかった。
これが自分のことしか考えず、理実と知己を待たせてしまった自分への罰なのだ。
「岳。俺だけだろう?」
「ああ。理実だけだ。欲しいのはお前だけだ」
意地やプライドなど、今の岳にはどうでも良かった。自分がそんな些細なものに拘ったからこそ、こんな事態を招いたのだ。
腕を伸ばした岳の躯は救い上げられるように、理実に抱き起こされ、膝の上に座らされる。
「岳、岳が悪いんだからな」
真っ直ぐに岳を見つめる理実の貌は獲物を前にした獣だ。だが、岳には好ましい貌だった。変に大人ぶって岳を気づかったりしなくていい。若い情熱をそのままぶつけて欲しい。それが理実らしい。
「ああ。解ってるよ」
岳の理性が保てたのはそこまでだ。
理実に乱暴に揺さぶられ、翻弄され続ける岳の耳に残ったのは、繰り返す理実のささやきだった。
「離さない。離れないで」
それに何と答えたのかすら、岳は覚えていなかった。


「あ、パパ。おはよう」
ぼーっとした頭を抱えて起きると、玄関から知己が入ってくる。
「おはよう、知己。さ、理実は?」
「お父さんは買い物。向こうの冷蔵庫のは持ってきたんだけど、これじゃパパに何も作ってあげられないからって」
「向こう?」
知己が手にしているのは明らかに、その冷蔵庫の中身だろう。
だが、岳の疑問は膨らむばかりだ。
「そういえば、お前たちは何処に居たんだ?」
冷蔵庫は完全に止まっていたが、岳の部屋の掃除はきちんとしてあった。
「ひいらぎ荘」
「ひいらぎ?」
何処かで見たような気のするアパートの名だ。
「向いにあるアパート。レインの副店長さんの恋人のおうちなんだって」
冷蔵庫へぽいぽいとビニール袋の中身を放り込みながら、知己が云う。レインと云うのは確か理実のバイト先のコンビニだ。
「一緒に暮らしたいからちょうどいいとか云ってた。パパ、意味解る?」
「そうだな。知己も大人になれば解るさ」
副店長の恋人も岳と同じように自立心旺盛なタイプなのだろう。はっきり云って、あんなぼろいアパートに女性が住んでいたとは驚きだ。副店長としては、困っている人を助けるためになんて口実で、恋人を自分のマンションに引き取ったのだろう。
「ナニ、それ。子供じゃないもん!」
頬を膨らませる知己を、岳は宥めるように頭を撫でる。
「じゃ、知己。荷物はまだ、アパートの部屋にあるんだろ? さっさとこっちに運び込もう」
立ち上がった岳に、知己が目を丸くした。
「いいの?」
「何が?」
「俺たち、ここに住んでいいの?」
不安と疑問の入り混じった知己の声は、岳の胸を締め付ける。この子にまで、こんな貌をさせてしまった。
「ああ。俺と理実と知己は、もう家族だ。知己は俺と理実の息子だよ」
泣きそうになるのを振り払って、岳は明るく笑う。
「パパ!」
知己が胸に飛び込んでくるのを、岳は幸せな気分で受け止めた。
もうすぐ、理実も帰ってくる。
そうしたら、引越しを済ませてしまおう。
ひとしきり泣きじゃくる知己の髪を梳いて、泣き止むのを待って外へ出た。
からりとした青空が広がっている。
湿度の高い九州とは違う空気に、岳は帰ってきたのだと実感した。
「岳!」
買い物袋を提げた理実が、岳を見つけて手を上げる。
「理実。ただいま」
昨日、云ってなかったと岳は思い出した。
「知己も、ただいま」
「うん、パパ。おかえり!」
「岳、おかえり」
理実と知己が、思い出したようにもう一度迎えてくれた。
岳は自分の小さな家を振り仰いだ。
建売の2SLDK。ありふれた二階建ての小さな家。そこは男たちのマイホーム。


<おわり>

これにて本編はおわりです。
面白かったと思ったら一言くださればやる気が増します!

九州から福島親子がやってくる番外編はこちら<ターゲット>

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~ Comment ~

Re: 面白かったです

りんさま。ありがとうございます。読み返していらっしゃるとのこと、嬉しいです。
さて、福島親子ですが、やっぱり理実としては気になるでしょう。離れていた間の岳を支えてくれた男ですもの。雨振って地固まると行きたいところです。
楽しみにしてくださると嬉しいです!
[2012/09/27 21:56] 真名あきら [ 編集 ]

面白かったです

最後に丸く収まって 凄くホッとしてます 長々ごちゃごちゃしなくて あたしとしては そこが良かった 適度にキュンてして でも辛い場面が続かなかったから それがあたしには良かったんです あ だけど 福島親子来ちゃうんですね それなんかありそうで 戦々恐々だな う~ん またキュンなシーンになっちゃうのか?それも絆になるんだろうか 深読みですかね とはいえ 楽しみでもあります またわくわくさせて下さいね ではまた あ…初めてコメさせていただきましたが ほかのお話も 全部面白かったです 時々読み返しちゃうほどに
[2012/09/27 21:35] りん [ 編集 ]















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