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王冠<王者の後継>番外 

【王冠】


ある日、ソルが唐突にそんなことを云いだした。
「王に?」
「そう。お前はなりたいと思わないのか?」
秀麗な顔に浮かんだ、悪戯を思いついたような表情を見るまでもない。からかって遊んでいるだけだ。
それに付き合うのも悪くない。
「王になってどうする? この国を統治してそれから?」
「何だって、好き放題だろう。お前、少しは贅沢をしたいとか権力を振るうとか」
そんなことを考えるまでも無い。
「贅沢は飽きる。権力を振るうって、どうするんだ? 大体、今ですら地位はもてあましている」
一応、俺はこの国では『英雄』と呼ばれ、第一騎士団の副隊長に次ぐ地位を持っている。王にさえ謁見を申し込める身分だ。
実家へ送っていた仕送りも、弟たちが独り立ちした今では断られ、養子にした息子も魔術師見習いで非常に慎ましやかな生活を送っている。正直、棒給の使い道に困っているくらいだ。
「第一、美味いものばっかり食って楽してたら、あっという間に衰える。お前、そんな俺を抱く気になるか?」
只でさえ、いい年になったのだ。魔術師たちの中でも秀でた術と美しさを誇るこの男が、何時まで自分などを相手にするのか。
「俺はリベアなら構わないが」
「嘘をつけ。お前は俺の精神が腐ったら、あっさりと俺を捨てるさ」
容姿の衰えという意味ではそうかもしれないが、俺が護るに値しない人間になった途端にコイツは俺を切り捨てるだろう。
「契約は死ぬまで一度きりだぞ?」
「俺を殺せば済むだろう?」
魔術師のフリをした魔物と知りつつ、契約を続けているのは俺の意思で、この男の意思。
「残念だな。お前の頭に王冠というのも悪くないと思ったんだが」
「勝手に残念がってろ」
他愛の無い言葉遊び。
だが、俺が本気でそれが欲しいと云えば、俺の元へとすかさずもたらされるだろう。
それだけの力と術を封印して、コイツは俺の傍にある。
契約の元に。


<おわり>

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完結小説一覧

創作JUNEオンリーイベント・Jガーデン。前回の「帰っちゃうのポスター」のSSです。
テーマは「王冠」でした。

今回のテーマは「イヤホン・ヘッドフォン」
新刊『秋色の……』の二人でお届けします。
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