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熱い口付け<水の魔方陣・焔の剣>新年SS祭り *R15 

新年SS祭り。アンケート第二位は「ソルフェース×リベア」
「王者の後継」から、また十数年後です。
本編「水の魔方陣・焔の剣」はこちら


納期とは、収穫期に取れた作物の一部を領主に税金として納め、残りを使って雪に閉ざされる季節を越えるために加工したり、春雪期に市で売り出す商品を作ったりする。
その為、ティアンナでは家の中に籠もりがちになる季節であったのだが。
最近では、この納期の時期に王都を訪れる旅行客が多い。地方からどころか国外からまで訪れ、むしろ春雪期の市よりも賑わう仕儀となっているのだ。

「ええ~~っと、すまん、よく聞こえなかったんだが、もう一度頼む」
「リベアさま。最近は耳まで遠くなられたのですか?」
聞きたくないことを聞いた気がして、確認を取る俺に、一見たおやかな少女のような見映えの魔術師がキツイひとことを吐いた。
ほっといて貰おう。俺が年なのは確かだが、まだ耳が遠くなるほどではない。と思いたい。
俺は隣に陣取るヤコニールの小柄な細面にギロリと睨みを利かせだが、馴染みの魔術師は慣れた風で、まったく動じない。
「リベアさま。もう一度申し上げます。今年の納期の祈りですが、私・群青のレイサリオが行うことになりました。いつも通りにリベアさまには、魔封じの剣を抜いていただき、私と口付けを……」
「待った! 待ってくれ。一体何で、そんなことになったんだ?」
俺はすっかりデカくなった自分の息子に、改めて向き直る。
養子にしてから十数年。身長は俺をとっくに追い抜き、魔術師らしい優美な肢体と顔立ちを持ったレイは、すでに一人前の魔術師だ。美しい金の髪を伸ばしている所為か、何処か師匠のソルに似ている。
「先程も説明いたしました通り、蒼のソルフェースの変らぬ様を、恐ろしがるものも出て参りました。元々、蒼のソルフェースは伝説の最強の魔術師。滅多に民衆の前には姿を現さなかったのです。リベアさまと契る前は。ここ二十年以上、蒼のソルフェースはずっと貴方の傍らにある。それがより一層の恐怖を呼んだようです」
そりゃそうだろう。俺が年をとっていく横で、あの男は出会った頃のままだ。人は大きすぎる力には、畏怖を感じる。だが、俺が今問題にしているのはそこじゃない。
「それはさっきも聞いた。お前が納期の祈りをつかさどるのは、まったく構わん。幸い、お前はまだ成長途中だ」
そう、空恐ろしいことに、レイは魔術の継承を終えた後も、成長が止まる様子がない。つまり、この子の力は未だ頂点には達していないということだ。だが、そうやって成長を続ける間は、民衆たちの不安を和らげる効果はあるだろう。
「祈りには、俺の剣が必要だというのであれば、力も貸す」
正確には、俺の剣ではなく、剣に封じられた水竜を、だろうが。
「だが、その後にお前と口付けするのだけは断固として断る。そのぐらいなら、碧殿かモニクを出せ」
何で寄りによって男、しかも息子と口付けなどしなきゃならんのだ。どうしてもそれが必要なら女魔術師を出せ。
「属性が違います。水竜を操るには、水の魔力が必要です。この宮の水の魔術師は、蒼のソルフェースを覗けば、現在は私一人」
論破されて俺はぐっと詰まった。正直、逞しい体格の俺が、何故に、人前で男と口付けを交わす羽目になっているんだ?
「父さん。あんまりごねると儀式の席で舌ねじ込むぜ」
被った皮を綺麗に脱ぎ捨てて、レイがドスを効かせる。俺もソルも口は悪い。その俺たちに育てられたレイが上品でなどある筈も無い。先程までのは魔術師としての外向き用だ。
「レイサリオ」
名を呼んだだけのヤコニールだが、口調にぴしりと嗜める響きがあった。
「リベアさま。はっきりとおっしゃったらどうですか? 例え儀式であっても、蒼のソルフェース以外と口付けなどする気がないと」
俺をまっすぐに見るヤコニールの少女めいた顔は、そらされる事がない。正論過ぎて、俺には反論の余地がなかった。

「レイとの儀式を拒否しているそうだな?」
ソルが面白そうに聞いてくる。妙な隠し事をして、突っ込まれるのは御免だ。
「儀式というよりもあの時の口付けを、な。正直、知らない相手ならいいが、息子というのはどうも」
百歩譲って、男同士は我慢もしよう。魔術師には圧倒的に男が多い。だが、その相手が息子であるのは勘弁だ。
「レイ相手だから、という訳か?」
「ああ。どうにもな」
食事の後に、一杯だけ果実酒を頼んだ。もう、寝るだけだと考えて、ベッドに腰を下ろしていた俺の隣にソルが座り込む。
「リベア……」
呼びかけられる熱い声に、俺は身を震わせた。こんな年になっても期待している自分が情けない。通常であれば、そろそろ騎士団から退くことを考えなければならない年なのだ。
だが、俺に限ってはそうさせてもくれないだろうことは判っていたが。
重なる唇。口腔へ入り込んでくる舌は熱く、歯列の裏を探られて、ぞくりとした。
股間をさぐる長い指に煽られ、張り詰めている。
節操の無い、淫らさだ。
「何を考えている?」
「いい年して、節操が無いな、と」
耳元へ囁く、ソルの声に応える俺の言葉は完全に自嘲だ。
「ふ、余裕など吹き飛ばしてやろうか?」
ニヤリと笑うソルの顔は、まさしく魔物のソレだった。逃げを打つ躯を捕らえられ、引き裂くような乱暴さで服を剥ぎ取られる。
膝の上に抱え上げられ、一気にソル自身を受け入れさせられた。
慣らしも無い乱暴な行為に、若くない躯が悲鳴を上げる。
「馬鹿や、ろう、いきなりすぎッ…、」
抗議をしようとした口を封じるように、与えられる噛み付く様な口付け。
激しくなる律動に、俺はただ、苦鳴か嬌声か判らぬ声を上げ続けた。

儀式の当日。
俺の前に現れたのは、レイではなかった。
ティアンナには多い、赤みがかった茶色の髪に紫紺の瞳の少年は、先日、空席であった藍の名を継いだのだそうだ。
「藍のソリューイと申します。今回の儀式を司る栄誉を授かりました」
少年らしく、頬を紅潮させて告げる。俺はもしかすると、レイから名誉を奪ってしまったのかとうろたえたが、まさか、この少年魔術師の前で、そんなことを云う訳にもいかない。
だが、俺はすぐに平静をとりもどした。
儀式は何もこの一度だけではない。納期の度に行われるのだ。
つまり、俺は慣れるしか無い訳である。
二人して、広間の中央へと進み出る。
俺が焔の剣を抜き、ソリューイへ渡すと、ソリューイはそれを正面に捧げもち、呪言を唱えだした。ゆったりとした響き。
只人には発音出来ない、魔術師のみの言葉。
ゆっくりと刀身から、水の塊が身を起こした。それはあっという間に人の数倍の大きさになり、天空へと飛び立つ。
その間も呪言は唱え続けられている。ゆったりと優しい響き。母の胸に抱かれているような安堵をもたらすそれ。
広場の上空をぐるりと周回した水竜は、降りてくると焔の剣に同化した。
ソリューイが、剣を持ったまま俺に近づいてくる。
紫紺の瞳は俺を真っ直ぐに見据え、俺に剣を戻す。重なる唇は熱かった。
「水竜の騎士の護りも祈りに加えられた」
ソリューイが広場に向けて云い放つと、それに和する人々の声が沸きあがった。
皆が痛い程に南天の枝を振っているのが見え、それを制するように、国王陛下が歩み出る。
それを潮に俺たちはその場を辞した。

「何が、藍のソリューイだ。ペテン師め!」
「いや、お前が俺と以外はやるのが嫌だって云ってるって聞いて」
そんなことを吹き込んだのは誰だ? ヤコニールか? あの野郎、覚えてろ。
俺は後ろから追ってくるソリューイ、もとい、ソルを無視したまま、ずんずんと奥へ進む。
「待てって、俺の姿、見て何とも思わない?」
その俺の肩を、ソルが掴んだ。お前の変化した姿なんぞ、以前にも……。
「あのとき、の?」
変化したソルは、まだ子供だった。赤みがかった茶色の髪。あのときの瞳は青だった。確かにあの時の子供が成長して、魔術師になれば、きっとこうだろうと思わせる姿だ。
「リベア、お前、俺を養子だって云ったんだぜ? 覚えてる?」
そういえば、そんなことを口走った気はする。
「今回の儀式。レイサリオの名は出てないが、リベアの息子が司ると云う話だけが先行しているんだ。しかも、その後には国王が出る」
「あ…ッ、」
レイは歴代王族の特徴を非常に濃く受け継いでいた。儀式のすぐ後に国王陛下などが出たら……。
「だろう?」
ソルが俺を背後から抱きこんでくる。細身の少年であった筈の身体は、いつの間にか、優美だがひ弱さなどまったくない鍛えられた身体に変っていた。
そのまま、降りてくる唇を受け止める。重なるそれはソルの熱い想い。


<おわり>

次作は渥美×鈴木【お守り】

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