スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
*Edit TB(-) | CO(-) 


愛情こめて作ります<9> 

「お前、俺をどんだけ即物的だと思ってんの?」
「え? 嘘。じゃ、お前さゆちゃんがいるのに浮気してたのか!」
「何故、そうなる!」
こいつの口塞ぎてぇ。さゆちゃん、睨まないで。浮気なんかしたことないよ。
「高二の時のロリな彼女は? 弁当作ってもらってただろ?」
「さゆだよ」
「初キッスの可愛い子は?」
「さゆ」
「遊園地デートの後、お泊りした相手は?」
「それも、さゆ」
「温泉食い倒れツアー」
「さゆだっつーの!」
全部即答。当たり前だ。さゆちゃんが小学生の頃から大事に大事にしてきたんだぞ。さゆちゃんのはじめてを共有出来る様に。
「ええ~と、それで手を出してない? 可愛い俺のさゆちゃんに? 美弥、実は」
「この年で童貞だよ。でも、恥ずかしいとか思ってねーぞ。俺はさゆとしたいんであって、他の奴とか目に入れたくも無い」
したい相手はさゆちゃんしかいません。胸を反らした俺に、衛雪はますます頭を抱えた。
「さゆちゃんには可愛い女の子が」
「お前、さゆがどっかの可愛い女の子を連れてきたとして、何処の馬の骨か判らない相手とさゆの交際認める?」
そんな訳無いだろう。それが出来ればここまで拗らせてない。
「さゆちゃんがお兄ちゃんよりもその子を優先しても耐えられる?」
衛雪は呆然と俺を見る。あ、こいつその可能性全然考えて無かったな。
「俺にしておこうぜ。俺なら、さゆにお前と俺のどっちか決めろって言わない。今まで誕生日もクリスマスもバレンタインもお前に譲ってきただろ?」
「あ…、」
衛雪は、今気付いたとばかりに俺とさゆとを見比べた。
「当日は兄ちゃんと過ごせって、柚木さんが。俺はその後でもいいよって」
恥ずかしそうにさゆが目線を逸らす。お兄ちゃんが面倒なのはデフォルト。知ってます。
「で、でも……」
まだ何かあるのか。口篭る衛雪を覗き込むと、衛雪はもじもじと手を遊ばせていて中々話そうとしない。これは一種、衛雪の癖だ。大事なことを話したいときにだけ、ちょっと仕草が子供返りする。
仕方なく、俺はじっとそれを待った。
「俺も大事にしてくれるか?」
は? え??ドウイウコトナノ?? ダイジッテナニ?? コレハアレデスカ? オレモミヤノコトガスキッテヤツデスカ?
あまりにぶっ飛んだ連想に頭の中が疑問符で満たされる。
「さゆちゃんを俺から奪わない。さゆちゃんとは引き裂かない、俺ごとさゆちゃんを大事にしてくれるか」
デスヨネ。知ってた! 恋愛フラグじゃなくて、お前らだけで甘い気分に浸ろうったって許さねぇ。俺も仲間に入れろってか。
「それが邪魔しない条件か」
「だって!」
ココからが長かった。
さゆちゃんがスニーカー欲しがってたのも、甘いものが好きなのも知らなかった。さゆちゃんと一緒にお料理とかナニそれ、羨ましいギリィ。誕生日プレゼント一緒に選ぶとか可愛すぎる。等々、色々、エトセトラ。
つまり。総合すると。兄を差し置いて何してんだ、ゴラァ。
しかも、さゆちゃんが煽る煽る。
いや、もちろん悪気が無いのは判ります。さゆちゃんとしては条件付といえ、許してくれたのが嬉しかったんだろう。
で、も、ね。
「ほら、前から使ってるお弁当箱。柚木さんとお揃いなんだ」
「兄ちゃんへの今までのプレゼント、みんな柚木さんと選んだんだよ」
「カフェエプロン。カッコいいだろ。柚木さんからのプレゼントなんだ」
にこにこ顔で言うさゆちゃんは最高に可愛いです。天使か。
でも、その天使の前で、兄はどんどん笑顔が引きつって行きます。うん、満面の笑顔にひび入っていく様子が判るね。ありありと!
「そうか。じゃあ、その楽しみを兄ちゃんにも分けてくれよ」
「兄ちゃんに?」
さゆが首を傾げた。そりゃそうだ。衛雪と一緒に何かするという選択肢がさゆには無い。さゆにとって嫌いな、非常に目立つ注目を集めることに他ならないからだ。
「うん。一緒にお弁当に入れるものを選んだり、一緒に美弥へのプレゼント選んだりしよう」
さゆの顔がぱぁっと明るくなる。あ、そこに気付いたか。衛雪に対するものは俺が相談に乗ってやれるが、お互いのものは内緒とは行かない。
今まではデートした後に、一緒に買い物に出掛けて一緒に選ぶという方式だったんだが。
「ホント。兄ちゃん、柚木さんのこと相談に乗ってくれるの?」
「ああ。お兄ちゃん、さゆちゃんが幸せなら何でもやれるからな」
兄ちゃん。と感激して抱きついたさゆちゃんですが、衛雪は勝ち誇ったドヤ顔を俺に向けてきました。歪みねぇな。このブラコンは。
「柚木さん」
振り向いたさゆに、俺は苦笑いを隠す。120%のさゆちゃんの笑顔。ご褒美です、ありがとうございました。
「兄ちゃんが応援してくれるなんて思ってなかった。嬉しい」
はらはらと涙を零すさゆには悪いが、お前の兄ちゃん、決して応援はしてくれないぞ。と思いつつ、でもさゆちゃんの期待に満ちた視線を壊すほど野暮じゃない。
「さゆちゃん」
腕を広げる俺の胸に飛び込んでこようとするさゆは、寸でのところで背後から伸びてきた腕に捕まえられた。
「もちろんじゃないか、さゆの幸せを俺は願ってるぞ!」
言葉だけはさゆに主ねながらも、衛雪の腕はさゆを放そうとはしない。俺は早くもゲロったことを後悔しはじめていた。

「結局、こうなるんだね」
「うん、まぁな。織り込み済みだろう」
翌日からのランチデートは保護者付だ。いや、それは覚悟してたよ。衛雪をじゃけんにするなと条件出されたしね。
でっかい二段重ねの重箱も男三人の胃袋ならば軽くはいる。衛雪は幸せそうにさゆの隣で弁当を頬張っていた。
「さゆちゃん、美味しいよ」
本日の弁当はサンドウィッチとから揚げのトマトソース煮。あらびきソーセージとピーマンの炒め物。
「柚木さんは?」
いつもの俺の台詞を衛雪に取られて、黙ったまま食べていた俺に、さゆは不安そうな視線を向けた。
「もちろん。美味しいよ。さゆちゃんのご飯が美味しくなかったことなんてない」
さゆが心をこめて一生懸命に作っている飯が不味いなんてある訳が無い。さゆがほっとしたように笑った。うん、いい笑顔。それをもっと輝かせる秘密兵器を俺は本日持って来ましたよ。
「いつも美味しいものを食べさせてくれるさゆちゃんに、お返し」
百均のミニ保冷バッグを差し出した俺に、さゆちゃんは首を捻り、衛雪は何だと覗き込んでくる。
「アップルパイ?」
煮たりんごを餃子の皮で包んだものをトースターで焼いただけのモドキですけどね。
両端が開いているので、零さないように気を付けながらさゆちゃんが頬張る。カリッとよく焼けた皮の音がした。
「美味しい。これ、作りたい。ねぇ、柚木さん、教えて」
さゆちゃんがキラキラした瞳で俺を見上げてくる。凶悪に可愛らしいよ。後ろで衛雪がむっちゃ悔しそうな顔してるのが気持ちいいです。ごめんね、さゆちゃん黒い男で。

NEXT

FC2 Blog Ranking
完結小説一覧
スポンサーサイト
*Edit TB(-) | CO(-)  Tag List  [ 小説 ]   [ メンズラブ ]   [ 年の差 ] 


Back      Next

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。