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愛情こめて作ります<11> 

「信じられない!」
とうとうさゆちゃんが声を荒げたのは、幾度目かのお家デートで買い物から帰ってきた後だった。
「兄ちゃん、何度言ったら解かるんだよ。俺、そんなにべったりとか嫌なんだって!」
そう。衛雪はこの日の買い物でもさゆちゃんの背中にくっつくようにして肉や野菜を選んでいた。さゆの背中ごしに手を伸ばして、耳元で会話をする様を見たそこらの奥様方がひそひそと囁く声は。全部聞こえずとも内容はおして知るべし。
最初こそやんわりと兄を拒否していたさゆだったが、この日は終に限界が来たらしい。しかも、ひそひそと囁く中に同級生の姿を見つけてしまったのも不味かった。
「で、でもさゆちゃん、美弥とはすっとくっついてるじゃないか」
「当たり前でしょ。恋人だもん!」
さゆちゃんは何故かドヤ顔で胸を張る。可愛いんですけど!
「それに兄ちゃん、何で外でやりたがるのさ」
「家の中だと美弥がつっくいてるからだ」
今度は衛雪がドヤ顔で即答。いや、お前は可愛くないからいいです。
「だから! 何でそこで張り合うの」
「悔しいからに決まってる」
あまりにストレートな衛雪の答えに、俺とさゆは同時に頭を抱えた。いや、判ってましたよ、衛雪がこんな男だってことは。
「とにかく、兄ちゃんが俺にくっつくの禁止!」
「ええ~~~」
何を言っても無駄と知ったさゆがはっきりと申し渡す。衛雪は非常に不満そうだが知るか。お前の自業自得だ。

「美弥ぁ」
「だあぁ、うるせぇ。くっつくな」
「だって、いい匂いするんだもん」
くんくんと鼻を鳴らして俺の背中にべっとりとくっつく衛雪は、俺にさゆの残り香を求めている。
衛雪がさゆに接近禁止を言い渡されてから、数週間。まぁ、衛雪としては非常に頑張ったと思う。衛雪にしてみれば、色眼鏡で見る方が悪いんであって、自分にやましいところなんか何も無い。兄弟でくっついて何が悪いと。
だが、絵面を考えてほしい。ガタイのでかい男二人がぴったりとくっついて買い物をする図。ええ、どこから見てもゲイカップルです。くそ、羨ましい!
駄々漏れの俺の本音はともかくとして、さゆと衛雪はどう見ても兄弟には見えないし、衛雪はかなり目立つ中性的な男前なのだ。
結果、さゆは恥ずかしい上に、余計なコンプレックスを刺激されるというダブルコンボでライフゼロ。
別にさゆ自身は嫌な訳じゃないと思うんだよな。実際、嫌な顔してないし。単に恥ずかしがってるだけで。単に嫌なのは状況の方。
それでもさゆと俺を二人きりにさせまいと衛雪は背後からじーっと見てるから、俺は思うさま、家の中ではさゆちゃんといちゃついてた。ただし、抱きしめたりキスしたりするのは衛雪が目を離した隙を狙う。すぐに衛雪は戻ってきてギャーギャー喚くが、そんなの知ったことか。
「兄ちゃん、離れて」
俺にぴったりとくっついている衛雪を発見するたびに、さゆちゃんは絶対零度の視線で兄を見る。
「さゆちゃん、冷たい」
当たり前だ。お前、俺とさゆちゃんのスイーツライフを尽く邪魔しておいて、どの口が言うか。
「柚木さんは俺の」
そして、最近困ってるのがこのさゆちゃんの態度である。ぴったりと背後から俺に抱きついてきて、頭を俺の肩口にぎゅーっと押し付けるのだ。さゆちゃん可愛いよ。いい匂いするよ。はい、正直に言います。股間が不味いです。
衛雪が居てくれて良かったと思うのはこんなときだ。まだ、正気を保てる。
「さゆちゃん、離れてくれないかなぁ。正直、男として不味い事態が」
「さゆちゃん、こっちおいで! そんな獣から離れなさい」
さゆは渋々と離れつつ、俺をじーっと見ている。恨みがましい視線が痛いです。でも、仕方ないよ。俺、大人としての節度保てる自信ないもん。
俺はさゆちゃんのこと大好きだけど、抱いて大切にしてやることは出来そうに無い。獣確定。童貞乙。
そうして、逃げ回っていた結果。手痛いしっぺ返しが来ることになる訳だ。

「さゆちゃん、ごめんね。遅くなる」
朝起きて、さゆと待ち合わせをする。衛雪の邪魔が入った所為でランチデートは無くなった。変わりに考え出したのが、一緒に登校という奴だ。
俺だって二人きりの時間欲しいです。食べ歩きデートもお家デートも兄監視って何の嫌がらせですか。ある程度の覚悟はしていました。でも、まさかここまでとは。五分も二人きりにしてくれません。
今日も今日とて、待ち合わせして一緒に歩くのは、桜並木の川沿いの遊歩道だ。ゆっくりと二人で歩きいろんな話をする。
学校のこと、進路のこと、最近やってる仕事のこと。元々が孤高の人扱いのさゆだが、ここのところの女子からの興味本位の視線が半端無いらしい。黙っていればガタイのデカイだけの怖そうな人に見えなくも無いさゆちゃんだけど、それが大人の男と並んで楽しそうに買い物をしているとなれば、嫌でも目立つ。
まぁ、これはアレだね。学生時代の俺と衛雪にも覚えのある腐った女子ですね。
どうせなら俺とさゆちゃんにしてくれればいいのにね!
「会社の呑み会? それともまた合コン?」
隣を歩いていたさゆちゃんが拗ねたように唇を尖らせる。
「うん。また衛雪目当てだろうけどな」
「さっさと誰かとくっつけばいいのに」
拗ねたままのさゆに、俺は笑顔を向けた。
「それには賛成で反対だな」
「どっちだよ」
「衛雪が誰かと恋仲になるのは賛成だけど、それはさゆちゃんを大事にしてくれる人じゃないと反対だ」
唇を尖らせたさゆの顔が見る見るうちに真っ赤になる。
「もう、柚木さんカッコ良すぎ」
さゆちゃんの言葉に、俺は舞い上がる寸前。当たり前でしょう。変な女に引っ掛かって困るのは衛雪で、同時に被害はさゆに及ぶ。そのためなら身体張りますよ。
「ホントにカッコいいよ」
つぶやいたさゆちゃんの顔は妙に悲しげで、俺は思わず肩を掴もうと手を伸ばした。変わりだした信号にさゆが走り出した所為で掴むことは適わなかったが。

「おい、大丈夫か」
「ああ。平気だ。不味いな、このまま帰るの」
その夜、抱えた衛雪はぼろぼろだった。正直、何でこうなったのか。俺にもさっぱり分からない。
よくある合コンだった筈だ。衛雪をゲットしようと、女たちが水を向けて、衛雪がさゆフェチを発揮してドン引きされるまでがいつものパターン。
だが今日は珍しくドン引きしない相手がいた。以前、合コンで一緒だったことのある肉食系女子だ。でかい胸を目一杯強調した服装と半端ない色気と、その癖にさっぱりとした物言い。どうやら、あっちはあっちで弟が姉フェチらしく、ちょっと困っている風だった。
話をあわせているのかと最初は疑っていたのだが、それにしては弟の行動が衛雪と重なりすぎていて、俺は思いっきり笑ってしまった。
姉は姉で弟が可愛いらしく、衛雪と二人でいい感じで盛り上がっている。これは掘り出し物件かと、二次会へ繰り出す連中とは別行動でカフェへと移動したところで。その当の弟と鉢合わせした。
いい加減に酔っ払った姉と、男が二人。しかも長身だが優しげで中性的な衛雪とは違い、いかにもスポーツやってました系な俺を見て、弟セコム発動。いや、お姉さんを何処かへ連れ去る気ありませんから。
「お前ら、姉さんに何する気だ」
殴りかかってくる弟くんは姉によく似た派手目な顔立ちに鍛えられた身体のいい大人。これが可愛いとか姉馬鹿怖い。いやー、うまく交わさないと死ぬね。
そう思っていた俺、一発殴らせて正気に戻すか。顔と腹は避けりゃ大丈夫だろ。なんて考えてたら、衛雪が俺の前に出て、代わりに一発くらいました。しかも、顔! これアカン奴。
「衛雪!」
「下がってろ。さゆちゃんの恋人に怪我なんてさせたら、俺がさゆちゃんに合わせる顔がない」

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