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愛情こめて作ります<12>完 

モロに顔に食らったらしい衛雪は唇の端が切れていた。それをシャツの腕でぐいっと拭って、俺を庇う。
「いや、それ止めて。俺がさゆちゃんに怒られる」
大事なお兄ちゃんに怪我させたとか、有り得無い! 俺たちはお互いに庇い合ってお互いの前に出ようとしてた。セコムぽかーん。その隙に姉がセコムの背中を蹴り倒す。
「あんた、馬鹿でしょ」
いや、お姉さんもミニスカートで背中蹴るとかパンツ丸見えです。しかも、衛雪が倒れてたんで、モロでした。
お姉さんは、むすっとする弟セコムの頭を掴んで無理やり下げさせ、平謝り。いやいや、俺たちも配慮が足りなかったですと頭を下げて、その場は終了。ですが、ばれましたよね、コレ。さゆちゃんと俺が恋人同士だって。
「あの人黙ってくれると思うか」
「大丈夫だろ。というかお前、その程度の覚悟かよ」
二人と別れるまでは意地で平気そうな顔してた衛雪だが、普通にふらついていた。その顔を歪めて俺に問い掛ける。
「俺は気にしなければいい。だが、さゆは気にする」
俺が大事にしたいのは一も二も無くさゆなのだ。それに邪魔になるのなら、何を言われても受け入れる。
「美弥、お前」
「俺は覚悟してるさ」
ふっと笑う俺の頭を衛雪が張った。
「ちくしょう、お前カッコいいんじゃねーかよ。惚れるぜ」
「当たり前だ」
肩を貸したまま歩く俺の胸に、衛雪が拳を入れる。頭を殴られたから心配していたんだが、この調子なら大丈夫そうだ。
俺が衛雪に笑い掛け、衛雪とさゆの住むマンションを目指そうと顔を上げる。目を見開いたさゆと目が合った。
え?何でさゆがここに?? しまった、怪我の言い訳どうしよう。俺の頭の中を高速でいろいろな思考が駆け巡る。呆然と立ち尽くすさゆの顔が歪んだ。
次の瞬間、さゆが走り出す。え? さゆちゃん、何で??
責められ詰め寄られると思っていたのに、逃げ出されたことに合点がいかない。
「何、ぼけっとしてんだ、さゆちゃん追え。泣かせたりしたら承知しねぇぞ」
「すまん!」
さすがに見捨てていくのはどうかと考えた衛雪本人から、追えといってくれたのだ。遠慮なしにその場に置いていく。
いい大人が逃げる男を追って走るのは、周囲の注目を集めていたが、さゆはまったく目に入っていない。
部屋へ滑り込むさゆの腕を掴んだ。
「離してッ」
振り向いたさゆが泣いているのを見て、俺の理性がぶっ飛ぶ。ばたばたと暴れるさゆを抱きしめた。
「さゆ」
耳元で囁くとさゆの身体がぴたりと動きを止める。涙に濡れた瞳が俺を見上げた。何か言おうとするさゆの唇を、自分のそれで塞ぐ。
「さゆちゃん。可愛すぎる」
「もう、騙されない」
唇を離した俺の正直な感想に、さゆちゃんは下を向いたまま呟いた。初ディープキスの後の甘い雰囲気は何処に行ったんでしょうね。
「そうだね、騙してました。ごめんなさい」
素直に頭を下げた。まさか、さゆちゃんが気づいてるとは思わなかったよ。
「やっぱり美弥さんも他の奴と同じなんだ」
はい??? 
「いや、それは違うと思う」
「兄ちゃん目当てなんだろ。いいよ、俺に優しいフリなんか止めてよ」
待って待って、さゆちゃん。それ誤解! いつの間にか呼び方も美弥さんに戻ってるし!
「そんな面倒なことしないよ。俺はさゆちゃんだけが可愛いんだから」
落ち着いて、さゆちゃん。俺の話聞いて!
「俺が、ごめんって言ったから誤解した? でも、俺の本音はもっと汚いし呆れると思うな」
「何、が」
やっとさゆちゃんの瞳が俺を見た。
「さゆちゃんはいつも興味本位の視線で見られるの、嫌がってただろ。でもね、それはさゆちゃんが友達作らなかったからだよ。俺は、さゆちゃんに頼られるのが好きで、さゆちゃんが俺だけとしかいられないようにした。きちんと解決法は知ってたんだよ。でも、俺はさゆちゃんを独り占めする方を選んだ」
事情を知っている友人たちがいれば、そういう視線は減ったし、庇ってもらえただろう。無くなりはしなくても、それなりに減る。だが、全部を俺が受けとめた。
「衛雪に内緒にしないで、最初から衛雪を巻き込んでおけば、あそこまで衛雪が拗らせることはなかった」
衛雪はさゆが健気に兄を頼らないことで、一層さゆに執着した。
「俺はさゆの周囲に端っから俺しかいない状況を作り上げたんだよ」
中々に俺も拗らせてる。さゆは唖然と俺を見上げていた。
「さゆちゃん、逃がすつもりないよ」
抱き締めるさゆの身体は震えている。うん、ごめんね。怖かった?
「よ、良かった」
ぽつりとさゆが呟いた。
「怖かった。兄ちゃんは俺と違って綺麗でカッコ良くて、大人で。柚木さんが兄ちゃんを選ぶの、当たり前だと思ってた」
再び俺を見たさゆの瞳からは涙が溢れている。可愛いよ、さゆちゃん、天使!
「さゆ」
涙を指で拭って、俺はさゆを抱き締める。さゆを抱き染めたまま、俺の足はさゆの部屋へと向った。
「さゆちゃん。覚悟いい?」
「ん」
ベッドへ押し倒した俺に、さゆはこくりとうなずく。可愛すぎます。知ってた!
さゆの身体をベッドへ縫いとめ、その上に覆いかぶさる。ゴム新しいのあったっけ。財布の中に偲ばせたそれを何時変えたかと記憶を辿る。
もう心臓はどっきどっき。うるさいくらいに鳴っている。
「さゆ」
「うん、ずっとそう呼んで欲しかった」
さゆのTシャツを捲り上げ、肌を撫でながらキスを交わす。
さゆちゃん、お肌綺麗。すべすべしてるよ。もう意味判ってんのかな。いただきます。
「だぁーッ、誰がそこまでやれって言った!」
俺の身体が蹴り飛ばされ、ベッドの下へと落ちた。
「さゆちゃん、大丈夫? 獣に何かされてない?」
身体を起こすと、さゆを抱きしめた衛雪が俺を睨みつけてくる。
「に、兄ちゃん……」
赤く頬を染めたさゆちゃんのすごく愛らしい表情は、俺に対して威嚇している兄に、徐々に冷たいものへと変化していく。あ、もしかして兄の残念さに対して冷たかったんじゃなくて、さゆちゃん衛雪を敵認定してた?
さゆの足が上がる。綺麗な蹴りが衛雪の脇腹へと決まり、衛雪が倒れこんだ。
「さゆちゃん?」
「いい加減にして、兄ちゃん」
ベッドに倒れこんだ衛雪の前に、さゆちゃんは仁王立ちだ。
「すぐにここから出て行って」
ドアを指差すさゆに、衛雪はすごすごとそちらへ向かう。部屋を出るときに衛雪が情けない顔で振り返ったが、鼻先で扉が閉じられた。
こちらを振り向いたさゆの目は据わっている。
「さゆ?」
「覚悟決めてるから。全部柚木さんのものにして」
俺に抱きついたさゆは、とてもエッチの前とは思えません。雄々しすぎるよ、さゆちゃん。俺、泣きそう。
「あ、ヤバい!」
「へ?」
「さゆちゃん、衛雪、殴られてる」
不味い、本気で忘れてた。さゆもさっと顔色を変える。
「そういえばぼろぼろだった。何があったの?」
「ちょっと絡まれたんだよ。あいつ、さゆちゃんの恋人に怪我させられないって俺の前に飛び出して」
さすがに今日は様子見てないとヤバいだろ。
「兄ちゃん、そんなマトモな神経あったんだ」
俺の言葉に感動したかと思えば、何気にさゆちゃん酷いです。俺たちはとりあえず、衛雪の元へ向う。
「病院連れてくか」
「そうだね、ここんとこ兄ちゃん頭打ちすぎだし」
まぁ、ソファごとぶっ倒れたのは衛雪の自業自得だけどな。
「もしかすると脳に異常でもあるのかもしれないし」
おーい、さゆちゃんもしかして、それってさゆフェチのことでしょうか。それなら、俺も脳に異常アリです。
スマホで救急病院を探す。幸い空いているところが見つかったので、タクシーを呼んだ。衛雪はさゆちゃんが心配してくれたことに感激して男泣きしている。うるせぇ。
タクシーが来て、衛雪を支えようとする俺の腕をさゆが押し退けた。
「兄ちゃんに触るの禁止」
「お兄ちゃんに美弥が触るの嫌なの」
「柚木さんは俺の。絶対に駄目だからね」
一瞬、妬いてくれたのかと喜ぶ兄を、さゆは絶望のどん底へ叩き付ける。さゆちゃん、意外と容赦ない。
でも衛雪を威嚇しながらも、肩を貸すさゆちゃんは男らしくてカッコいいです。
「惚れ直すよなぁ」
ぴたりと足を止めたさゆちゃんの首筋まで真っ赤になったのを、俺は見逃しませんでした。さゆちゃん、君はやっぱり可愛い俺の天使だよ。

<おわり>

番外編NEXT

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