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水竜の騎士<3> 

「おう、リベア。ここだ」
「バース隊長。あの、本当に私がご一緒しても……」
その夜は、街の酒場に繰り出すことになった。リベアの歓迎会をバースが開くという。
さすがに、近衛隊長に面と向かって逆らうものは無かったし、修練場での一戦を知っているものは、リベアの実力を正当に評価していた。
「お前が今日の主役なんだぞ、いなくてどうする?」
「バースに気に入られたのが不幸だと思えよ」
近衛騎士が中心だが、第一騎士団の騎士もそこそこ集まっている。
リベアを挟んで隣に陣取ったのは、第一騎士団隊長マキアス・ドゥーズだ。
二人ともえらくご機嫌である。リベアを待っている間に、一杯と云わず引っ掛けたようだ。
酔っ払いの上司二人の間に座らされて、リベアは身体を縮こまらせた。マキアスもバースに負けず劣らずの巨漢だ。そうしていると、それなりに男らしい体格の筈のリベアが、小柄なのも手伝って余計に小さく見える。
実際に、酒場の女将などは、すっかりリベアを第一騎士団の新入りだと信じ込んで、山盛りの料理を運んできた。
転属して来たのだから、新入りと云う表現に間違いは無いが、小なりとは云え国境騎士団で隊を任されていたのだ。
もう新入りなどと云う年では、とっくにない。
「さぁ、たくさん食べてね」
と差し出されても、たくさん食べて成長出来るような時期は遥か昔だ。
それでも、せっかくバースとマキアスが上機嫌なのだから、断るのも悪い気がして、リベアはひたすら料理を口に押し込んだ。


酔ったバースを塔の近衛の部屋に送り届け、反対側の自分の居室に帰ったのは、もういい加減に深夜を廻った頃だ。
疲れきった身体をベッドに投げ出したとき、ふいに自分の隣に気配を感じて飛び起きた。
もちろん、剣を抜き放って。

「随分とご機嫌な帰還のようだな」
月明かりを浴びて、窓際に立つ優美な姿と、秀麗な横顔。魔術師の印である紫紺の瞳が意地の悪い光を放って、リベアを見下ろしている。
「蒼の―――」
自分の守護魔術師の姿に、ほっとしてリベアは剣を下ろした。
「脅かすなよ。寿命が縮むぜ」
そのまま、ごろりとベッドに大の字に身体を投げ出す。足元がふらつくくらい呑まされた身体で、巨漢のバースを背負って帰って来たのだ。いい加減、疲労も限界に達しようと云うものだ。
「昨日はえらく居心地の悪そうな視線ばっかりで、精神的に疲れたが、今日は肉体的に疲れた。とにかく、寝かせろ」
「ああ」
リベアの云うことに、珍しく素直にうなずいたソルフェースに見守られるように、リベアは意識を闇に放り出した。


*これより先、15禁。ご承知の上、お進みください。

リベアの意識を闇から救い出したのは、白みかけた空の明るさだけでは無かった。
馴染みのある香油の香と、自分の躯の内部をまさぐる異物感。それに、認めたくは無い快感が確かに沸き起こっている。
「蒼…ッ、お前、何を、」
「とにかく寝かせてやっただろう。お前の寝顔も可愛かったが、俺としてはお前の感じる貌の方が好みなんでな」
「ふざけ、んん、あッ…」
思わず上げそうになった嬌声を、リベアは枕に顔をうずめてやり過ごす。
ここは結界に護られた、西の宮の蒼のソルフェースの居室では無いのだ。明け方にそんな声を上げれば、丸聞こえに違いない。
「いくぞ、力を抜け」
無理やりに広げられた内部を、ソルフェース自身が穿つ。
飲み込んだ苦鳴はソルフェースの唇に絡み盗られた。
「く、ふッ、んん」
それでも合わせた唇から声が漏れるのはどうしようも無い。
「蒼の、やめ…、あッ」
抗議を入れようが、行為が止むことは無かった。
思い余って、自分の腕を噛んで、苦鳴を止めようとしたリベアの躯を、一旦放したソルフェースはうつぶせにして、枕をあてがう。腕に傷などつけさせたい訳ではない。
枕に噛み付くように顔をうずめたリベアの、腰を掴んだソルフェースが、再び内部を押し広げる。
ゆっくりと穿たれる感覚は、何時までたっても慣れそうになかった。
「声、聞かせてもらいたいが、さすがにここじゃ、な」
耳元でソルフェースが囁く。一応の気遣いはあるらしいが、それなら今夜くらい寝かせてくれと、リベアの頭の中を文句が掠めたが、口に出すことは出来なかった。
一番深いところまで穿ったソルフェースが動き出したからだ。
ともすれば、高い嬌声を上げてしまいそうになるのを、リベアは必死で堪えた。
躯の方はすっかり慣らされている。
どうせ、一生付き合っていくことになる相手だ。契約の破棄は出来ない。どちらかが死を迎える直前しか、指輪は外れないのだ。
こんな美形の魔術師が、自分などを抱くのもあと数年がいいところだろう。それまで、楽しんだとて罰はあたらない筈だ。
契約の約定として、体液を捧げるのは、魔術には、まま有ることらしいとは、西の宮に出入りする間に、魔術師たちから話を仕入れていた。
ただ、騎士と魔術師の契約は同性間で行われることがほとんどなので、契りは血の盟約であるのが通例であるらしいことも。
ここのところ、平和であった為、魔術師の守護を個人的に結ぶものが無かったことと、最後に魔術師と契約を結んだのが、王家の女騎士であった為に『契り』という言葉が形骸として残ってしまったらしい。

「男同士で『契る』などとは馬鹿げている」
と、帰って来た蒼のソルフェースを迎えた紅(くれない)のアルガスは憤慨していた。
どうやら、西の宮ではリベアとソルフェースが契約を結んだことを知らなかったらしい。
「それも血の盟約ならまだしも、契るとは何事だ!」
と、説教を喰らってしまった。
リベアにしてみれば、勝手にソルフェースがやったことだし、大体、指輪の意味さえ知らずに嵌められたのだから、説教を喰らう筋合いは無いと怒って帰ってしまっても、良かったのだ。いや、むしろそうした方が後々の面倒は無かった筈だ。
延々と説教が止まらなさそうなアルガスをなだめたのは、本来なら説教をたれなければいけない立場の、当の西の宮長である。
むしろ
「死出の旅路から戻ってきた二人に祝福を与えるべきだろう」
などと云い出し、攻撃魔術の件も、うやむやなまま終わってしまった。
リベアは、もしかしてこの王宮魔術師の長は、全て承知の上で、王宮にソルフェースを置いているのでは?と、密かに疑いを持っているが、口にも出せずに、疑問は全て自らの胸の内にしまわれたままである。

「リベア。いい。たまらねぇ」
ソルフェースが動くたびに、耳を塞ぎたい程の濡れた音が、自分の下肢を繋いだ部分から響く。
抵抗出来ないのをいい事に、いつまで続けるつもりなのか?
「最高だ。お前の、俺に喰らい付いてくるぜ」
抱き締めながら繰り返される戯けた睦言も、ここまで行くと下品極まりない。
感じていないなどと、今更純情ぶってみせる積もりもリベアには無い。第一、もう三十を過ぎたというのに、ぶってみせたところで、不気味なだけだ。
ソルフェースだとて、自分より年下に見えるのは外見だけで、とっくに百は超えたじじぃの筈だ。
一体、いつまで盛りの付いた獣のように、自分を抱くつもりなのか。
一晩中抱かれたことも、数え切れない程あると云うのに、リベアはつらつらとそんなことを考えていた。かといって、リベアに学習能力が無い訳では無い。
そんなことでも考えて気を紛らわしていなければ、快楽のあまり声が堪えきれなくなる。
ソルフェースは、好き勝手に楽しんでいるが、ここは第一騎士団の塔の中だ。
昨日、配属されたばかりで、夜通し男とやっていた。などとうわさを立てられては困る。
只でさえ、リベアの立場は未だ微妙なのだ。

ソルフェースの指が、リベアの男に絡む。
やっと終わらせてくれる気になったらしい。
リベアは腰を浮かせて、その指を受け入れた。
ソルフェースの手に押し付けるように、リベアは腰を動かす。
焦らされたリベアと、感極まったソルフェースが頂点へ駆け上がるのは、すぐだった。

ほうっと、ため息を付いて、噛んでいた枕から顔を上げたリベアに、ソルフェースが折り重なる。
「重いぞ、どけ」
邪険に上に重なる身体を押しのけた。
「感じたか?」
ベッドから降りようとするリベアの肩を掴んだソルフェースが、そんな腐った台詞を吐くが、リベアはまったく相手にしなかった。
「アホか。判りきってることを聞くな」
「はん」
その応えに満足したのか、ソルフェースは軽く肩をすくめて、リベアの腕を放す。
「肩、怪我したのか?」
「たいしたことは無い。修練中に剣が掠っただけだ。どうせ、すぐ直るだろ?」
肩に巻かれた布を取り去り、貼り付けられた薬草を外すと、その下にはもう傷の跡がピンクの筋になって残っているだけだ。
「まぁな。一応、普段の結界は最低限にしてるが、その程度だったら、明日には傷跡も無い筈だ」
「さっさと帰れよ。ここは西の宮じゃないんだ。一応、王宮内とは云え、どう門番をごまかすつもりだ?」
「門番なんぞ、目が見えないのと一緒だ。俺の目くらましを破れるのは、今じゃアルガスくらいだな」
ソルフェースの言葉に、リベアはため息を吐く。
この男は魔術で堂々と表から入って来たらしい。
「で、西の宮に帰ったら、紅殿からご説教じゃないのか?」
「アルガスは、朝まで結界番だよ。あいつの説教なんざ、聞き飽きた」
結界番は、城下に魔物が侵入して以来の魔術師の仕事になっている。結界の綻びが無いかどうか、一晩中の寝ずの番だ。四方向の結界全てに気を配る為、他に気を廻す隙は無い。
どうやら、教師をごまかす生徒のように、それを狙って抜け出して来たようだ。
「ガキが夜遊び行くみたいだな」
「あいつと宮長は一応、俺より立場が上だからな。妙なことになってお前にとばっちりが行くのは避けたい。俺と行く気はないだろう?」
「無いな」
あっさりとリベアは返答した。
魔術師ソルフェースとしてなら、ここで共に暮らせるだろうが、魔物・蒼流と人を捨てて暮らせと云われても困る。
まだ、今はリベアにその気は無かった。


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